「加齢性難聴」は治療すべき?難聴の予防方法は?ストレスは難聴の原因になる?難聴Q&A/難聴・めまい

「難聴で相手の話が聞き取りにくい」「めまいがつらくて気分までふさぎこんでしまう」など、難聴やめまいに悩む人はどの年齢にもいて、悪化すると生活に支障が出ることがあります。「急に耳が聞こえなくなった」という場合は、すぐに受診したほうがいいことも。難聴やめまいなどの症状や治療法、受診の目安、日ごろの注意点などについて、聖マリアンナ医科大学耳鼻咽喉科学教授の肥塚泉先生に聞きました。

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難聴や聞こえに関するさまざまな疑問を肥塚先生に聞きました。難聴について正しい知識を持ちましょう。


Q1 加齢による難聴は治療しなくていい?

A 早めに受診しましょう。補聴器を使うと聞こえの改善につながります。

年を取るにつれて聞こえが悪くなっていくのが「加齢性難聴」です。加齢とともに両耳の有毛細胞が壊れていくため、両耳が聞こえにくくなります。傷んでしまった有毛細胞は元に戻らず、一度、低下した聴力の回復は望めないです。「加齢性難聴」では蝸牛以外に、聴神経や脳幹、脳の聴覚野にも加齢による変化が生じます。しかし、「もう年だから聞こえなくても仕方がない」と、難聴をそのままにしておくのはよくありません。難聴の原因が「加齢性難聴」ではない場合もありますので、聞こえが悪くなったと感じたら、早めに耳鼻咽喉科を受診します。

「加齢性難聴に関しては、補聴器を使って聞こえを改善させるのも一つの方法。慣れるまでは数カ月ほど調整を繰り返す必要がありますが、聞き取り能力が改善すると、他の人とのコミュニケーションが取りやすくなり、認知機能の低下を防ぐ効果も期待できます。高血圧や糖尿病などの生活習慣病によって加齢性難聴は悪化しますので、規則正しい生活を送り、健康に良い食事を摂るようにします」と肥塚先生。

 
Q2 難聴を予防する方法は?

A ヘッドホンやイヤホンの使い方に気を付けて、音楽ライブ後は耳を休ませます。

スマートフォンや携帯音楽プレーヤーで音楽を流し、ヘッドホンやイヤホンを介して長時間、ボリュームを上げて聞く人が大勢います。音楽ライブに行くと、大音量の音楽に接することに。このような生活を続けていると「ヘッドホン難聴」や「急性音響性難聴」になるリスクが高まってしまいます。これらは若い人に多い難聴です。難聴は高齢者の病気だと考える人がいるかもしれませんが、若い人が好む生活スタイルが原因となる難聴もあるので気を付けます。

「ヘッドホンやイヤホンで音楽を聞くときは、ボリュームを上げ過ぎないで適度な音で聞くことを心がけ、長時間の利用は避けます。特に電車の中で音楽を聞くと、電車の走行音に負けないように音量を上げてしまうことがよくあります。音楽と一緒に聞こえてくる『ザー』というノイズ音も大きくなって耳に良くないので、ノイズキャンセリング機能を利用したり、密閉型のイヤホンを使うのがおすすめです。音楽ライブに行った日は十分な睡眠をとって、翌日は静かな環境で過ごし耳を休ませます。もし翌日になっても難聴や耳鳴りが治らない時は耳鼻咽喉科を受診してください」と肥塚先生。

 
Q3 ストレスは難聴の原因になる? 

A 「急性低音障害型感音難聴」「突発性難聴」はストレスに関連していると考えられます

「急性低音障害型感音難聴」は低い音が聞こえにくくなる難聴で、原因はまだ解明されていませんが、強い精神的ストレスによって発症することが多いです。働き盛りの人に多く、仕事で過度のストレスがかかると発症しやすいです。親から勉強を強要された子どもが、そのストレスによって発症することもあります。一方の「突発性難聴」も原因は不明。ある日突然、耳が聞こえなくなりますが、過労や睡眠不足などの肉体的ストレスによって発症するのではないかと考えられています。

「難聴を防ぐには、なるべくストレスを溜め込まない生活をします。過去のことをくよくよ悩まずに、現在に目を向けて前向きになるように気持ちを切り替えます。忙しくてもリラックスタイムを作って、のんびりとテレビを見たり、家族や友だちとおしゃべりを楽しむことも有効です。ウオーキングなどの適度な運動もおすすめです」と肥塚先生。

 

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取材・文/松澤ゆかり

 

<教えてくれた人>

肥塚泉(こいづか・いずみ)先生

聖マリアンナ医科大学耳鼻咽喉科学教授。同大学卒業後、大阪大学医学部耳鼻咽喉科、米国ピッツバーグ大学医学部耳鼻咽喉科などを経て2000年より現職。「めまい外来」を担当し5万人以上の診察にあたる。日本耳鼻咽喉科学会(理事、評議員、専門医)、日本めまい平衡医学会(理事、専門会員、評議員、めまい相談医)。著書に『図解 専門医が教える!めまい・メニエール病を自分で治す正しい知識と最新療法』(日東書院)などがある。

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