「認知症を防ぐ新習慣」。脳を刺激する動作、らくらく筋トレを紹介【認知症専門医の朝田先生が指南】

筋肉を増やすと脳が元気になる

脳の血流を高め活性化を促すためには、運動が欠かせないといわれています。

しかし朝田先生によれば、運動をして筋肉を増やすことは、血流の増加以上に良い効果を脳にもたらすといいます。

「実は、脳の神経細胞は、年をとってからも増やすことができるんです。その効果が最も期待できるのが『運動』で、筋肉が動くときに分泌されるマイオカインという物質の中には、脳の神経細胞が減るのを防いだり、脳の神経細胞を増やしたりするものが存在するという研究が報告されています」

大人世代におすすめの筋トレとして朝田さんがすすめるのは、筋力トレーニングと認知機能の関係を研究していた本山輝幸さんが考案した「本山式筋力トレーニング」。

筋肉の刺激に意識し、認知機能の改善をはかりましょう。

おすすめのトレーニングはコレ!本山式らくらく筋トレ

(1)もも上げ

「認知症を防ぐ新習慣」。脳を刺激する動作、らくらく筋トレを紹介【認知症専門医の朝田先生が指南】 2408_P008-009_4.jpg<やり方>
(1)背もたれによりかからないようイスに浅く腰掛け、体を安定させるため両手でイスの座面をつかみます。
(2)片方の足を前方に伸ばし、床と平行になるよう足を上げます。このとき、太ももの筋肉に意識を集中します。
(3)(2)の状態から10cmほど上げたり、10cmほど下げたりする動作を10秒かけゆっくり2~ 3回繰り返します。
(4)もう片方の足も同様に行い、左右5回ずつ繰り返します。筋トレとして、毎日継続して行うようにしましょう。

(2)交互足上げ

「認知症を防ぐ新習慣」。脳を刺激する動作、らくらく筋トレを紹介【認知症専門医の朝田先生が指南】 2408_P008-009_5.jpg<やり方>
(1)足の裏が床につく高さのイスに浅く腰掛け、両手でイスの座面を掴みます。
(2)片足ずつ交互に、大きく引き上げます。
(3)交互に20回で1セットを、2セット行いましょう。
足を大きく上げるときに使う、太ももの筋肉と腹筋に意識を集中。体の中でいちばん大きな筋肉である太ももを動かすことで、より大きな刺激が脳に伝わります。また、どちらの筋肉も立ち上がるときに使う筋肉なので、足腰が弱ることで起こる転倒の予防に有効です。

COLUMN
脱水に注意!
年齢を重ねると喉の渇きに鈍感になるもの。たとえ軽度であっても脱水してしまうと、認知機能に影響するので注意が必要だと朝田先生は警鐘を鳴らします。時間を決めてこまめに水を飲み、エアコンを適度に使用して体の熱を冷ましましょう。運動をして汗をかくと体内の水分が失われて血流が悪くなるので、運動後の水分補給も忘れずに。

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構成・取材・文/和栗 恵 イラスト/シュクヤフミコ

 

<教えてくれた人>

認知症専門医
朝田 隆(あさだ・たかし)先生

筑波大学名誉教授、メモリークリニックお茶の水院長。アルツハイマー病を中心に認知症の基礎と臨床に携わる、脳機能画像診断の第一人者。全国の認知症患者人数を調べるなど、精力的に活動している。

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