風邪の症状で市販薬が効かず、病院で肺炎と診断されるケースがありますが、治療後に同様の症状が再発する場合、過敏性肺炎の可能性があります。夏型過敏性肺炎はクーラーや木造住宅のカビ、冬は加湿器の雑菌が原因で、適切な対策が必要です。今回は坂本晋(さかもと・すすむ)先生にお話をお聞きしました。
この記事は月刊誌『毎日が発見』2024年1月号に掲載の情報です。
どんな病気?
・肺にある肺胞(小さな空気の袋)や、細い気管支に起こる炎症。
・住宅内のカビや加湿器内の雑菌を吸い込むことが主な原因。
・木造家屋などのカビによる「夏型過敏性肺炎」と、加湿器の雑菌による冬季の「加湿器肺炎」の2種がある。
・主な症状は、せき、たん、呼吸困難、発熱など。
加湿器などによるアレルギー疾患
風邪のシーズンには、せきや発熱などのつらい症状に悩まされることがよくあるでしょう。
市販薬を飲んで症状がすぐに治まればよいですが、いっこうに良くならず、病院へ行くと「肺炎」と診断されて即入院となることもあります。
ですが、回復して退院したものの、しばらくすると、またせきや発熱といった症状に見舞われることも。
こうしたときに疑われる病気が「過敏性肺炎」です。
「過敏性肺炎は、カビなどによって肺に起こる重度のアレルギー疾患といえる病気です。夏に起こるのは、クーラーや古い木造住宅に繁殖するカビ『トリコスポロン』による『夏型過敏性肺炎』といいます。冬は、加湿器の水中に繁殖した雑菌に起因した『加湿器肺炎(加湿器肺)』の患者さんが増えます」と、坂本晋先生は話します。
肺は、ぶどうの房のような小さな袋状の「肺胞」で成り立っています。
細菌などが肺胞で増殖して炎症を起こすのが、一般的な肺炎です。
一方、過敏性肺炎は、カビや雑菌に対するアレルギー反応として、肺胞の壁の「間質」で炎症が起こります。
せきや発熱、たんといった症状は一般的な肺炎に似ていますが、その原因や炎症が起こる主な場所が異なります。
「過敏性肺炎は、カビや雑菌などの抗原(アレルギー疾患を引き起こす物質や原因)を遠ざければ、症状は治まります。肺炎と診断され、自宅から離れて入院すると症状がよくなるのは、肺炎の抗生物質が効いたのではなく、そのためです。ですが、退院して自宅に戻り、以前と同じ環境で生活をして抗原にさらされれば、ほどなくして再び症状が現れます」と、坂本先生。
せきや発熱などを何度も繰り返すときは、要注意です。