「喘息」は女性が高齢になると重症化しやすく、睡眠や運動による予防策や吸入薬の適切な使い方など、覚えておきたいことあります。今回は、東邦大学医学部医学科 教授の松瀬厚人(まつせ・ひろと)先生に、「喘息」について教えてもらいました。
高齢女性は重症化しやすい
吸入薬で適切なコントロールを「喘息」
主な発症の原因
・遺伝的要因
・アレルゲン(※)吸入など環境要因
※アレルギーの原因となる抗原(原因物質)のこと。
主な治療法
・吸入ステロイド薬などの薬物治療
・生活習慣の改善
喘息は空気の通り道である気道が慢性的な炎症を繰り返すことで収縮して狭くなり、「せきが止まらない」「息苦しい」などの症状が出る病気です。慢性的な炎症で気道が敏感になっているために、少しの刺激で症状が起きます。気道がゼーゼー、ヒューヒューと笛のように鳴る「喘鳴(ぜんめい)」が起こることもあります。夜中から早朝にかけてや、春や秋など季節の変わり目などに発作が起きやすくなります。高齢の女性は、重症化しやすいことが分かっています。
喘息の症状に似た病気に、心不全(心臓喘息)、肺がん、結核、肺気腫などがあります。検査によってこれらの病気ではないことを確認します。
喘息の治療の基本は吸入ステロイド薬で気道の炎症を抑えて、発作が起きない状態にコントロールすることです。発作を繰り返すと気道がどんどん硬くなり、狭くなった気道が元の状態に戻らなくなります(リモデリング)。こうなると治療が難しくなるので、日頃からいかに発作を予防するかが重要です。ステロイドの使用をためらう人もいますが、気道粘膜に直接届き、副作用はほとんどありません。症状がなくても、自己判断で中断せず、毎日吸入することが大切です。症状に応じて気管支を拡張させる薬との配合薬が処方されます。
発作が出たときに使用するのは発作治療薬(リリーバー)です。気管支を広げる働きがあり、すぐに効き目が表れます。使うべきときに適切に使用することが大切です。
吸入ステロイド薬などで効果が出ない場合は、生物学的製剤という新しいタイプの薬が使えるようになりました。現在、5種類あり、いずれも注射薬で2~8週間に1回注射します。喘息の原因物質を狙い撃ちにするため効果が高く、注目されています。高額であり、いつまで続けるべきか判断が難しい点が課題です。
喘息が進むと気道が狭くなる
健康的な気道
【断面図】
【横から見た図】
↓
喘息発作の気道
【断面図】
【横から見た図】
気道が収縮して狭くなり痰などの分泌物が増えるため、激しくせき込んだり、息苦しくなったりする。
発作と繰り返すと......↓
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リモデリングの気道
【断面図】
【横から見た図】
気道の平滑筋が肥大して気道が徐々に硬くなるリモデリングという状態になる。気道は元の状態に戻らなくなる。
<教えてくれた人>
東邦大学医学部医学科 教授
松瀬厚人(まつせ·ひろと)先生
1989年大分医科大学(現大分大学医学部)卒業。長崎大学准教授などを経て2014年より現職。医学博士。特に喘息などの呼吸器が専門。『「ぜんそく」のことがよくわかる本』(講談社)を監修。
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