花粉症に対する薬は数多くありますが、最近は「眠くなりにくい」「1日1回服用」など、新たなタイプの内服薬が登場しています。自分に合った薬を選ぶことで、つらい花粉シーズンを乗り切りましょう。今回は、大正製薬株式会社 セルフメディケーション 研究開発本部の島末安沙美(しますえ・あさみ)さんに「進化する花粉症薬」についてお聞きしました。
進化する花粉症(※1)薬
花粉症の仕組み
1.花粉(アレルゲン)に反応してリンパ球でIgE抗体(※2)がたくさん作られる
2.たくさん作られたIgE抗体は体の中で肥満細胞(※3)と結合する
3.再び花粉(アレルゲン)が侵入するとIgE抗体と結合する
4.肥満細胞からヒスタミンが放出され鼻や目が刺激される
抗ヒスタミン薬とは
神経伝達物質であるヒスタミンの働きを抑えることでアレルギー反応を抑え、花粉症などによるくしゃみや鼻水、せきなどの症状を改善する薬です。副作用として、眠気や口の渇き、吐き気、便秘などが現れる場合があります。
【主な市販薬】
・クラリチンEX(ロラタジン)
・アレグラFX(フェキソフェナジン塩酸塩)
・アレジオン20(エピナスチン塩酸塩)
・コンタック鼻炎Z(セチリジン塩酸塩)
・ザジテンAL鼻炎カプセル(ケトチフェンフマル酸塩)
・タリオンAR(ベポタスチンベシル酸塩)
※( )内は成分名です。
《眠くなりにくい薬は?》
・抗ヒスタミン薬
市販薬ではクラリチンEX、アレグラFXは眠気が出にくく運転に支障がありません。
・漢方薬
小青竜湯は運転時もOK 。サラサラ鼻水やくしゃみに。
・点鼻薬
眠気がほぼ出ません。鼻水、鼻づまりの方に。
「花粉症と上手に付き合うには、症状がひどくなってから薬を飲むのではなく、早めに対策をすることが大切です」と、島末安沙美さん。
花粉症のお悩みに多いくしゃみや鼻づまりには、原因であるヒスタミンの働きを抑える抗ヒスタミン薬が効果的です。
近年は、「眠くなりにくい」という第2世代抗ヒスタミン薬が多く登場。
効き目の持続時間が長く、1日1回または2回の内服で効果が期待できるほか、口が渇く副作用が出にくいといった特徴も。
なかでも、「1日1回の服用で眠くなりにくい」というのがクラリチンEX。
「多くの鼻炎薬に入っている抗ヒスタミン成分は、脳に移行することで眠気を起こすことがあります。クラリチンEXに配合されているロラタジンは、患部では有効に働きますが、脳には移行しにくい成分のため、アレルギー症状はしっかり抑えながら眠くなりにくいのです。1日1回1錠を朝食後など、毎日同じ時間帯に服用してください」(島末さん)。
薬を飲み始めるのは花粉が飛び始めて症状を感じたらすぐ。
早めに服用することで、アレルギーの原因物質であるヒスタミンの放出を抑えてくれます。
市販薬も、症状に合わせて選べばきちんと効果を得られるので、購入する際は薬剤師、登録販売者に相談を。
一定期間服用しても症状が緩和されない場合は別の病気が隠れていることも。
そういった際は、医師に相談してください。
※1 花粉などによるアレルギー症状。
※2 IgE抗体とは、免疫グロブリンEというたんぱく質。
※3 皮膚や粘膜など全身に広く分布する細胞。形が丸く肥満を連想させるため肥満細胞と呼ばれます。
取材・文/寳田真由美(オフィス・エム) イラスト/坂木浩子