単に呼吸器系の病気だけではない!? 「息切れ」/やさしい家庭の医学

単に呼吸器系の病気だけではない!? 「息切れ」/やさしい家庭の医学 pixta_24535842_S.jpg病気やけがをしたとき、それに関する用語(病名・症状など)の意味をそもそも知らなかった、なんてことはありませんか? また、時代の流れとともに「ADHD」「ノロウィルス」など新しい用語もどんどん現れています。

書籍『やさしい家庭の医学 早わかり事典』で、病気や健康分野の正しい知識を身につけ、いざというときに役立てましょう。

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単に呼吸器系の病気だけではない!?
「息切れ」

●自分の症状を観察してから受診を

「息切れ」は呼吸困難と言い替えることもできますが、息切れが起こる原因にはさまざまなものがあります。「息が切れる」ということは、単純に考えれば呼吸器系の病気が原因であるといえますが、心臓や血液系など、肺に影響を与える多臓器の疾患(しっかん)が原因となって起こることもあるのです。

 

【息切れの度合い】


1度:同年齢の健康者と同様の労作ができ、歩行・階段昇降も健康者並みにできる。

2度:同年齢の健康者と同様に歩行できるが、坂道・階段は健康者並みにできない。

3度:平地でも健康者並みに歩けないが、自分のペースなら約1.6km 以上歩ける。

4度:休み休みでなければ50m 以上歩けない。

5度:会話・着替えにも息切れがする。息切れのため、外出できない。


さらに、心因性による疾患や胸部の筋肉痛、肋骨(ろっこつ)骨折などによってもその症状が見られることがありますので、一概に呼吸器系の病気と診断できないのがやっかいなところです。

呼吸器系の病気では、かぜや肺結核などの感染症や、気管支炎、インフルエンザなどによっても息切れが起こることがあります。これらは比較的判断しやすい症状といえますが、そのほか、拘束性肺疾患や閉塞(へいそく)性肺疾患、肺気腫(はいきしゅ)、喘息(ぜんそく)なども要因として考えられます。

拘束性肺疾患は、肺の中に取り込む空気の量が減り、閉塞性肺疾患は、肺に吸い込んだ空気をうまく外へ出すことができなくなる症状として現れますが、両方とも肺機能検査を受けることによって病状が分かりますので、呼吸器科を受診してみるとよいでしょう。

心不全や肺水腫(はいすいしゅ)、心筋梗塞(しんきんこうそく)、狭心(きょうしん)症も息切れの原因の一つ。肺水腫に罹かかると夜間でも息切れや呼吸困難が起こるようになります。

息切れが起こりやすいと感じたら、それが突然現れたものなのか徐々に現れたものなのか、せきやたん、発熱、手足のしびれなどを伴うものなのかどうか、喫煙の程度や仕事上のストレス状況といった生活環境を自分で思い起こし、病院で受診するときに医師へ伝えるようにすると、よりよい診断を受けることができます。

 

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中原 英臣(なかはら・ひでおみ)

1945年、東京生まれ。医学博士。ニューヨーク科学アカデミー会員。東京慈恵会医科大学卒業。77 年から2 年間、アメリカ(セントルイス)のワシントン大学にてバイオ研究に取り組む。その後、山梨医科大学助教授、山野美容芸術短期大学教授を経て、現在、新渡戸文化短期大学学長、早稲田大学講師。おもな著書に『ウイルス感染から身を守る方法』(河出書房新社)、『こんな健康法はおやめなさい』(PHP 研究所)、『テレビじゃ言えない健康話のウソ』(文藝春秋)などがある。

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『やさしい家庭の医学 早わかり事典』
(中原英臣[監修]/KADOKAWA)


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この記事は書籍 『やさしい家庭の医学 早わかり事典』からの抜粋です

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