病気やけがをしたとき、それに関する用語(病名・症状など)の意味をそもそも知らなかった、なんてことはありませんか? また、時代の流れとともに「ADHD」「ノロウィルス」など新しい用語もどんどん現れています。
書籍『やさしい家庭の医学 早わかり事典』で、病気や健康分野の正しい知識を身につけ、いざというときに役立てましょう。
◇◇◇
前の記事「単に呼吸器系の病気だけではない!?息切れ/やさしい家庭の医学(3)」はこちら。
世界的に大流行するのはA型
「インフルエンザ」
●普段から体を温めておく
「インフルエンザ」は、インフルエンザウイルスに感染することで発症する病気、つまり感染症です。インフルエンザウイルスに感染している人がくしゃみをしたり、せきをすることによってウイルスがしぶきとなって飛び散り、それを他人が吸い込むなどして感染します。
インフルエンザウイルスにはA型、B型、C型の3種類がありますが、大流行するのはA型です。2009年春から翌年にかけて世界的に流行した新型インフルエンザも、A型でした。
発症がはじまったのはメキシコとされ、同年6月、WHO(世界保健機関)によって「パンデミック」(感染症の全国的・世界的な大流行)であると宣言されましたので、ご記憶の方も多いでしょう。
インフルエンザは、日本では主に毎年12月から2月にかけて流行します。症状としては、突然39度以上の高熱が出るほか、ゾクゾクするほどの悪寒(おかん)や関節痛、頭痛、全身のだるさなどを感じるようになります。
高熱が2~3日続いたあと、のどの痛みや鼻汁が出るなど、通常のかぜと同様の症状が続き、発症から1週間程度で回復傾向が見られるようになります。
インフルエンザには、市販のかぜ薬や抗生剤は効きません。
病院で、発症から48時間以内にインフルエンザと診断されると、抗インフルエンザ薬が処方されますが、この薬は発症してから48時間以内に服用しないと効き目がありませんので、インフルエンザに罹(かか)ったと感じたら早めに病院へ行き、医師の診断にしたがいましょう。
とくに幼児や高齢者、妊婦、心臓病や糖尿病などの持病を抱える人が症状を放っておくと、肺炎や中耳(ちゅうじ)炎、脳炎などの合併症を引き起こす可能性もありますので、注意が必要です。インフルエンザの治療薬としてはタミフルが有名ですが、服薬した児童が異常行動を示すなど、問題も報告されています。タミフルには解熱(げねつ)作用もありますが、体が熱を発することでウイルスをやっつけようとしているときに熱を下げてしまうので、逆効果ともいえます。
また、インフルエンザワクチンは児童への集団接種の例によって効果がないことが確認されています。
予防法としては、常日頃から睡眠不足を避け、体力を正常に保っておくことが必要でしょう。適度に体を動かし、体を温めておくことも有効な予防法といえます。
次の記事「肝機能障害の総称が「ウイルス性肝炎」。A型以外は重症化の恐れも/やさしい家庭の医学(5)」はこちら。
関連記事「「やらない手はないね」 "短短洗い"でインフルエンザを予防! 医師がすすめるインフルエンザ対策」はこちら。
中原 英臣(なかはら・ひでおみ)
1945年、東京生まれ。医学博士。ニューヨーク科学アカデミー会員。東京慈恵会医科大学卒業。77 年から2 年間、アメリカ(セントルイス)のワシントン大学にてバイオ研究に取り組む。その後、山梨医科大学助教授、山野美容芸術短期大学教授を経て、現在、新渡戸文化短期大学学長、早稲田大学講師。おもな著書に『ウイルス感染から身を守る方法』(河出書房新社)、『こんな健康法はおやめなさい』(PHP 研究所)、『テレビじゃ言えない健康話のウソ』(文藝春秋)などがある。
『やさしい家庭の医学 早わかり事典』
(中原英臣[監修]/KADOKAWA)
「糖尿病についてじつはよく知らない!」「高血圧と低血圧、そもそもの基準は?」「薬でよく聞くジェネリックってどんなもの?」そんな日頃よく体験する、健康や医療に関するギモンをこの1冊で解消! 病気、薬、医療用語ほか、知っておきたい健康知識125を集めました。索引付ですぐ引ける!