あなたがこれからかかる病気がわかる! 病気の診断はもちろん、発症リスクの予測も可能な「遺伝子診断」とは?

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東北大学などは、2017年7月、日本人3554人の遺伝情報を解析・診断し、公的機関で世界最大級のデータベースをつくったと発表しました。日本人特有の遺伝子の特徴も見つかっています。今後は、希少な病気と遺伝子との関係をはじめ、日本人を対象とした遺伝子に関するさまざまな研究に役立てたいとしています。

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遺伝情報を活用して、個々の病状に適した医療を

自身が持つ遺伝子の特徴が分かる遺伝子診断とはどんなものか、遺伝子がもつ情報との向き合い方を、東京女子医科大学附属遺伝子医療センター所長の齋藤加代子先生に伺いました。

「現在は遺伝性の病気を持つ方を中心に遺伝子診断が行われています。遺伝子を調べることで病気を解明し、適切な治療や対策を講じることができます。検査は採血によるDNAの抽出で、体への負担はほとんどありません。検査前や診断後には、必ず遺伝カウンセリングを行います。本人や家族の方が抱える悩みや目指す解決法を知り、適切な情報提供すると共に、今後の方針を伝えることで、より適した治療方針などを決められるようサポートしています」

遺伝子を詳しく調べることで病気の原因が分かるだけでなく、新たな治療の手がかりが得られます。遺伝子診断によって、いずれ病気を引き起こす可能性が高いと分かった場合、定期的に体調の変化を診ることで、発症前に治療を開始するケースも出てきています。では、どのような人が遺伝子診断を受けたほうがよいのでしょうか?

「部位にかかわらず、親族にがんを発症した人が3~4人いる場合や30~40代の若いうちにがんや糖尿病を発症した場合、左胸に乳がんがあった人が右胸にも発症した場合などは、遺伝性による疾患の可能性が高いです。遺伝子診断を受けることで、病気の早期発見ができるだけでなく、個々人に最も効果的な治療や予防を行うことも可能です」

遺伝子診断は、大学病院を中心に全国100以上の医療機関で実施されています。費用には幅があり、2~3万円のものから10万円以上までさまざま。疾病によっては健康保険が適用されるものもあるので、事前に確認してから受診しましょう。

  

遺伝子診断で分かる病気の一例

【神経・脊髄・筋疾患】
・筋強直性(きんきょうちょくせい)ジストロフィー
側頭筋や胸鎖乳突筋、両手足の外側の筋力の低下や萎縮(やせること)などの病状を示します。
・球脊髄性筋萎縮症(きゅうせきずいせいきんいしゅくしょう)
脳の一部や脊髄の運動神経細胞の障害により、話したり、飲み込んだりする時に使う筋肉や舌の筋肉、さらには手足の筋肉がやせてしまいます。

【家族性腫瘍】
・家族性乳がん
遺伝による乳がんのこと。乳がん全体のうち、5%程度が家族性といわれています。
・家族性大腸ポリポーシス
大腸にポリープが多発して大腸がんになる疾病で、多くは遺伝性疾患です。胃や十二指腸でも起こります。

【多因子遺伝病】
・大腸がん
・水頭症
多くの場合、脳室(脳内に存在する脳脊髄液を貯留した部屋)が拡大した病状をさします。脳室の拡大だけで判断できない場合もあり、全身の症状と併せて診断されます。

【代謝疾患】
・糖尿病
・高脂血症
・ミトコンドリア異常症
一つ一つの細胞内では、ミトコンドリアという小器官が、生命活動に必要なエネルギーをつくっています。このミトコンドリアの異常のために、細胞が正常に働かなくなった結果、さまざまな細胞組織や臓器の機能が低下します。

【血液疾患】
・遺伝性溶血性貧血
赤血球が寿命を待たずに破壊され、新たな生成が追い付かなくなるためにおこる貧血です。動悸、息切れ、倦怠感、めまいなど、一般的な貧血の症状の他に、黄疸があらわれます。

【その他
・難聴
・不整脈

  

齋藤加代子(さいとう・かよこ)先生
<教えてくれた人>
齋藤加代子(さいとう・かよこ)先生
東京女子医科大学附属遺伝子医療センター所長・特任教授。専門は遺伝医学、遺伝子医療、小児科学、小児神経学。
この記事は『毎日が発見』2017年10月号に掲載の情報です。
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