治療するには断酒しかない! アルコール依存症/やさしい家庭の医学

pixta_28528637_S.jpg病気やけがをしたとき、それに関する用語(病名・症状など)の意味をそもそも知らなかった、なんてことはありませんか? また、時代の流れとともに「ADHD」「ノロウィルス」など新しい用語もどんどん現れています。

書籍『やさしい家庭の医学 早わかり事典』で、病気や健康分野の正しい知識を身につけ、いざというときに役立てましょう。

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長年にわたるアルコールの大量摂取が原因

アルコール依存症

●治療するには「断酒」しかない

飲酒を自分自身でコントロールできず、アルコールに対して心理的にも身体的にも依存している状態を「アルコール依存症」と呼びます。

アルコール依存症は長年、大量にアルコールを摂取(せっしゅ)してきたことで引き起こされる病気ですが、飲酒をやめると禁断症状≪ 離脱(りだつ)症候群≫が起こり、幻覚を見たり、けいれんが生じるようになります。

この場合のけいれんは「振戦(しんせん)」(震戦)とも呼ばれ、手や足などの一部、ないし全身が無意識にブルブルと震えてくることをさします。

アルコール依存症の患者さんは、けいれんや幻覚を抑えるために、さらに飲酒するようになり、悪循環に陥(おちい)ります。何よりも飲酒が大事で、友人との約束や自身の趣味よりもそれを優先したり、酒を飲むことで引き起こされるトラブルがあっても構わないようになると、もう自分で治すことはできない状態となります。

また、アルコール依存症は心理的にダメージを負わせるだけではなく、肝機能障害や肝硬変、糖尿病などの重い病気を引き起こす大きな要因ともなっています。その症状がさらに発展すると、脳萎縮(いしゅく)が生じて、アルコール性の認知症になることだってあるのです。

こうなると、もはや入院治療でしか治せない病気となります。

アルコール依存症の要因は、遺伝的なものもありますが、主には生活環境や性格などが挙げられます。仕事や家庭のストレスから不安が生じ、憂(ゆう)うつな状態が日常的に続いたことで、ついついアルコールに手が伸びてしまい、飲酒が精神安定剤の役割を果たしてしまうのです。

アルコール依存症を克服するには、断酒をするのが基本です。ただし、一人で断酒するのはなかなか困難なことですので、自助グループに参加し、同じ症状を持っている仲間と一緒に治療するのがよいでしょう。

また、家族の理解も必要となりますので、自助グループなどに相談のうえ、アルコール依存症についての知識を学ぶようにしましょう。

 

薬物療法には、「抗酒薬(こうしゅやく)」を服用するというものもあります。抗酒薬はアルコールの代謝(たいしゃ)を阻害(そがい)するというもので、この薬を飲んで飲酒すると激しい二日酔いに襲われ、飲酒するのが怖くなるという作用があります。本人が同意のうえで服用する薬です。

アルコール依存症は精神のみならず体をも蝕(むしば)んでしまう病気です。ストレスを軽減し、自分一人で治そうとせずに周囲の人や医師に相談してみましょう。

 

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中原 英臣(なかはら・ひでおみ)

1945年、東京生まれ。医学博士。ニューヨーク科学アカデミー会員。東京慈恵会医科大学卒業。77 年から2 年間、アメリカ(セントルイス)のワシントン大学にてバイオ研究に取り組む。その後、山梨医科大学助教授、山野美容芸術短期大学教授を経て、現在、新渡戸文化短期大学学長、早稲田大学講師。おもな著書に『ウイルス感染から身を守る方法』(河出書房新社)、『こんな健康法はおやめなさい』(PHP 研究所)、『テレビじゃ言えない健康話のウソ』(文藝春秋)などがある。

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『やさしい家庭の医学 早わかり事典』
(中原英臣[監修]/KADOKAWA)


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この記事は書籍 『やさしい家庭の医学 早わかり事典』からの抜粋です

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