40代半ばを過ぎて妙にイライラすると感じたら、更年期が始まっているかもしれません。更年期は、思春期と並ぶホルモンの大変動期で、疲労や肩こり、のぼせなど、これまで感じなかったさまざまな不調が起こりやすくなります。ひどくなると、更年期障害と呼ばれ、日常生活に支障をきたすこともあります。
この大変動期をできるだけ心地よく過ごすにはどうしたらよいのか、飯田橋レディースクリニック院長の岡野浩哉先生にお伺いしました。今回はその6回目です。
前の記事「更年期障害の症状の特徴を知りましょう/更年期障害(5)」はこちら。
その症状、甲状腺機能異常やうつ病の可能性も!
これまでお話ししたとおり、更年期に現れる症状は、人それぞれさまざまです。そのため、40代~50代でなんらかの不調を感じると、つい「更年期」と決めつけてしまうことも。しかし、更年期症状や更年期障害とは別の病気で不調が出ている場合もあるので、自己判断は禁物です。
更年期世代に発症しやすい病気の中には、更年期に現れる不調とよく似たものがあります。特に注意したいのは、女性に多い甲状腺機能の異常。これには、甲状腺ホルモンの分泌が不足する「甲状腺機能低下症」と、甲状腺ホルモンの分泌が多すぎる「甲状腺機能亢進症」があります。なかでも、甲状腺機能低下症は40~50代に多い病気であるうえ、月経不調、気分の落ち込み、動悸、気力低下、記憶力の低下など、多くの症状が更年期症状に似ています。
ですから、血液検査や超音波検査できちんと甲状腺機能を調べる必要があります。
また、メンタル面の不調で気をつけたいのは、うつ病です。更年期のうつ症状は、エストロゲンの減少による一時的な気分の変調ですが、「本当のうつ病」の場合は、専門の治療が必要です。ほかにも、間違えやすい病気を下記にご紹介します。「なんか変だな」と思ったら、ためらわずに専門の医療機関を受診しましょう。
●更年期障害と間違いやすい主な病気
※高松 潔.更年期障害.スズケンメディカル2012;15:4.より引用
関連記事「意外! 手指の病気には更年期障害が関係しています/手指の痛み改善法」
次の記事「更年期を迎えたら、生活習慣の見直しを/更年期障害(7)」はこちら。
取材・文/笑(寶田真由美)
岡野 浩哉(おかの・ひろや)先生
飯田橋レディースクリニック院長。群馬大学医学部卒業後、同医学部附属病院産婦人科、 東京女子医科大学産婦人科などで臨床経験を経て、平成20年に飯田橋レディースクリニック設立。 「患者にやさしい医療」をモットーに、新聞・雑誌等メディアへ執筆多数。