40代半ばを過ぎて妙にイライラすると感じたら、更年期が始まっているかもしれません。更年期は、思春期と並ぶホルモンの大変動期で、疲労や肩こり、のぼせなど、これまで感じなかったさまざまな不調が起こりやすくなります。ひどくなると、更年期障害と呼ばれ、日常生活に支障をきたすこともあります。
この大変動期をできるだけ心地よく過ごすにはどうしたらよいのか、飯田橋レディースクリニック院長の岡野浩哉先生にお伺いしました。今回はその7回目です。
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大半の人は「やり過ごせる程度」の不調です
更年期というと体調不良や気分の落ち込みなど、誰もが不調に悩まされるものだと恐れていませんか? しかしご安心を。岡野浩哉先生も関わった「更年期症状と治療に関するインターネット調査」(全国各地に居住の40歳以上60歳未満の女性、約4000人対象)によると、「生活に大いに影響がある」と答えた人は12.4%。「やや影響がある」と答えた人を合わせると60%近くにはなりますが、生活に大いに支障が出る更年期障害と呼ばれるような重い症状に悩まされる人は、それほど多くはありません。
ですが、問題なのは、「生活に大いに影響がある」にもかかわらず、治療を受けていない人が多いことです。前述のアンケート調査でも、不調を感じながら、病院を受診した人はわずか4人に1人という結果に。一方、更年期障害で婦人科を受診した人の実に7割近くが、症状の改善を実感しているという結果も出ています。
「更年期を迎えたら、まずは健康的な生活を意識して日々の習慣を見直すことが重要です。バランスのよい食事はもちろん、適度な運動も大切。運動は、ウォーキングやテレビを見ながらのストレッチなど、気軽に取り組めることで十分です。一度にたくさん行うよりも、続けられることが大前提です。日々の習慣を見直しても症状が改善しない場合は、女性の体の専門家である、婦人科や更年期外来で相談してみてください」と、飯田橋レディースクリニック院長の岡野浩哉先生。
ところで、更年期の症状はいつまで続くのでしょうか? 症状は、閉経前後の2~3年がピークで、その後は徐々に軽減していく人が多いようです。米国におけるホットフラッシュの調査では、7.4年間(以下すべて中央値)とされています。閉経確認前の月経不順が始まったころから症状が出た人は長く、11.4年間、閉経してからも9.4年続くそうです。一方で閉経確認後に症状が始まった人は3.4年と短いことがわかっています。
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取材・文/笑(寶田真由美)
岡野 浩哉(おかの・ひろや)先生
飯田橋レディースクリニック院長。群馬大学医学部卒業後、同医学部附属病院産婦人科、 東京女子医科大学産婦人科などで臨床経験を経て、平成20年に飯田橋レディースクリニック設立。 「患者にやさしい医療」をモットーに、新聞・雑誌等メディアへ執筆多数。