ホルモンバランスの変化と更年期症状/更年期障害(2)

pixta_31714743_S.jpg40代半ばを過ぎて妙にイライラすると感じたら、更年期が始まっているかもしれません。更年期は、思春期と並ぶホルモンの大変動期で、疲労や肩こり、のぼせなど、これまで感じなかったさまざまな不調が起こりやすくなります。ひどくなると、更年期障害と呼ばれ、日常生活に支障をきたすこともあります。

この大変動期をできるだけ心地よく過ごすにはどうしたらよいのか、飯田橋レディースクリニック院長の岡野浩哉先生にお伺いしました。今回はその2回目です。

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エストロゲンの分泌量と共に女性の体は変化

女性の体は、一生を通じて女性ホルモンの影響を受け続けます。女性ホルモンには、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体(おうたい)ホルモン(プロゲステロン)の2種類があり、どちらも主として卵巣から分泌されます。なかでもエストロゲンは、年代によって分泌量が大きく変化します。

エストロゲンの分泌量は小児期から少しずつ増え始め、思春期になると初経(月経)を迎えます。20代になるとエストロゲンの分泌がピークに達し、性成熟期に入ります。すると、月経周期は安定し、妊娠・出産に適した体内環境が整います。この成熟期は約20年間続きます。

その後、更年期になると、エストロゲンの分泌量は減少し、閉経を迎えるとともに、急激に低下します。エストロゲンは、生殖機能以外にも、心血管系や自律神経系、脳機能、皮膚代謝、脂質代謝、骨代謝など、体のさまざまな機能に作用しているため、これらの器官がこれまでどおりに機能できなくなり、多種多様な不調を感じるようになります。つまり、女性ホルモンの急激な減少に体がついていけず、心身の不調が起こりやすくなるのです。

「エストロゲンの欠乏によって起こるさまざまな不調は、環境や心理状態にも関係するため、感じ方や症状の種類、症状を感じるタイミングなど、1人1人違います。"自分だけは更年期障害にならない"と疑わず、体調の変化に無自覚だったり、不調があっても耐えてしまう人もいますが、この機会に自分の身に起きていることを見つめ直してみましょう。原因の分からなかった心身の不調が、更年期によく見られる症状だと分かるだけで不安がやわらぐこともあります」とは、飯田橋レディースクリニック院長の岡野浩哉先生。

また、老年期(50代半ば~)にかけてエストロゲンの欠乏が続くと、脂質異常症や動脈硬化、骨粗しょう症、認知症などのリスクが高まるともいわれています。更年期は、女性が自分の健康を考えるための大切な時期です。これまで健康診断を受けてこなかった人は、更年期をきっかけに検診を受けて、自分の体の状態を確認しましょう。また、この時期に起こりやすい体の変化を知り、不安や不調と上手に付き合っていきましょう。

 

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取材・文/笑(寶田真由美)

<教えてくれた人>
岡野 浩哉(おかの・ひろや)先生

飯田橋レディースクリニック院長。群馬大学医学部卒業後、同医学部附属病院産婦人科、 東京女子医科大学産婦人科などで臨床経験を経て、平成20年に飯田橋レディースクリニック設立。 「患者にやさしい医療」をモットーに、新聞・雑誌等メディアへ執筆多数。

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