糖尿病の一歩手前の
黄色信号を見逃さない
大切なのは、日頃から健康診断の血液検査などで血糖値を把握しておくことです。
「空腹時血糖」の他、過去1~2カ月間の血糖値の平均を表す「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」の値にも着目しましょう。
糖尿病は、空腹時血糖が126mg/dL、HbA1cが6.5%以上などで診断されます。
が、それ以下の人も油断は禁物です。
「HbA1cの値が5.6~5.9%の場合、正常値の範囲内ではありますが、将来、糖尿病を発症するリスクがあり、黄色信号とされています。そのまま放置していると少しずつ数値が上がり、本当の糖尿病に発展してしまう率が高くなるという統計が出ているからです。特に体重が増えた人にその傾向が見られるので、気を付けましょう」と、玉谷先生は話します。
通常の健康診断では数値が出ない「食後高血糖(隠れ糖尿病)」の存在も知っておきましょう。
これは、空腹時の血液検査では正常な数値なのに、食後に血糖値が急激に上がる症状です。
通常、食後の血糖値はインスリンの働きにより緩やかに上がり、2~3時間で食事前の数値に戻ります。
しかし、食後高血糖の人は食後に急激に血糖値が上がり、その後も高い値が続きます。
すると、血管を傷つけて動脈硬化を起こしやすく、心筋梗塞などの重大な病気を誘発するリスクが高まります。
また、そのまま同じ生活を続けていると、いずれ本当の糖尿病に発展してしまいますが、気付きにくいのが怖い点です。
「食後高血糖のサインには、食後の『急激な眠気』や『体のだるさ』がありますが、誰にでも起こるわけではありません。また、糖尿病の初期段階は、自覚症状がないといっても過言ではありません。『のどが渇く』『疲れやすい』『手足がしびれる』などの自覚症状が出たときにはかなり進行しています」と、玉谷先生。
構成/岡田知子(BLOOM) 取材・文/安達純子 イラスト/堀江篤史