卵はアミノ酸、ビタミン、ミネラルをバランス良く含んだ「完全栄養食品」です。特に卵黄には「脳の栄養」といわれるコリンがたっぷり含まれ、近年は認知機能をアップすることが
分かってきました。健康な人は1日2個の摂取が望ましい、と厚生労働省ではすすめています。そこで今回は、管理栄養士で料理研究家の村上祥子(むらかみ・さちこ)さんに「卵の栄養」について教えてもらいました。
卵はなぜ完全栄養食品といわれるのですか?
卵はビタミンC以外のほぼ全てのビタミンを含んでいて、特に骨を作るのに欠かせないビタミンDを手軽に摂取できる数少ない食品です。また、筋肉を作るのに欠かせない9種類の必
須アミノ酸や動脈硬化を予防する脂質のリノール酸やオレイン酸、レシチンも含んでいます。
卵のたんぱく質が良質なのはなぜですか?
たんぱく質を合成する必須アミノ酸は体内では作ることができず、筋肉だけでなく体の各
組織を作るのに欠かせません。9種の必須アミノ酸が必要量に対してどのくらい含まれて
いるかを数値化したものをアミノ酸スコアと呼び、1~100で数字化されています。卵はア
ミノ酸スコアが100で、とてもバランス良くアミノ酸を含んでいます。卵1個Mサイズで7.4gのたんぱく質を摂ることができます。
卵黄コリンを効率良く働かせるには、どんな食品と食べるのが良いですか?
認知症予防に効果が認められる卵黄コリンはビタミンB12を含む食品と摂ると効果が高い
といわれます。ビタミンB12は植物性食品には全く含まれず、牛、豚、鶏のレバー、チーズ、牛乳、イクラ、牛タン、丸干しいわしなどの青魚、のりなどに含まれているので、こうした食品と一緒に食べることを意識すると良いでしょう。
卵を摂るとコレステロール値が上がる心配はないのでしょうか?
コレステロール値が高い人は、コレステロールを含む食品は極力控えるという食事指導がさ
れる時代がありました。現在は食事からのコレステロールの摂取が、血液中のコレステロ
ール値に影響するわけではないと考えられています。卵黄のコレステロールは血中の悪玉
コレステロールを増やさないことも、医学的に解明されています。
取材・文/石井美佐 撮影/スタジオCOM(中野正景)