40代から衰え始める骨を強くし、若々しさを保つポイントは「骨代謝」です。「骨たたき体操」で刺激を与え、丈夫な骨を作り出しましょう。今回は、光伸メディカルクリニック院長の中村光伸(なかむら・こうしん)先生に、「骨を丈夫にするしくみ」についてお聞きしました。
骨に刺激を与えて骨粗鬆症と老化を防ぐ
現在、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の患者は全国で1300万人と推定されています。
「骨は40代から確実に衰えていきます。そのポイントは『骨代謝』にあります」と、中村光伸先生。
骨を丈夫にするしくみ
骨代謝(全身の骨が入れ替わるのに約5年)
「骨細胞」の指令により、古くなった骨を壊す「破骨(はこつ)細胞」と、新しい骨を作る「骨芽細胞」がバランスを取りながら働き、骨を丈夫な状態に作り替えること。毎日、全身で少しずつ行われています。
骨吸収
古くなった骨の部分に「破骨細胞」が集まり、酸などを吹きかけて古い骨のカルシウムやコラーゲンを溶かす(約4週間)。
↓
骨形成
壊された骨の部分に「骨芽細胞」が集まり、コラーゲン(たんぱく質の一種)を分泌して「骨基質(骨組み)」を作り、これにカルシウムやマグネシウムなどを付着させて骨を作る(約4カ月)。
↓ 骨に刺激を与えると丈夫になる!
新しい骨が完成
骨は日々新しく生まれ変わっており、これを「骨代謝」といいます(上記)。
加齢や食事などさまざまな原因によりバランス良く代謝ができなくなると、新しい骨が作られなくなり、弱くなるのです。
すると、骨折の要因となるだけでなく、見た目にも変化が表れます。
「背骨がつぶれて丸まったりする他、頭蓋骨の密度も低くなって萎縮し、骨の周りの皮がたるんで顔も老化します」(中村先生)
骨を強くし、若々しさを保つには骨に刺激を与えることが大切。
簡単な体操が効果的です。
ココに注目!
「骨形成」のときに、"若返りホルモン"オステオカルシンを分泌します
「オステオカルシン」が
● 骨自体の質を良くする
● インスリンの分泌を促し、血糖値の上昇を抑える
● 脳の神経細胞を活性化する
● 心身の活力を保つホルモン「テストステロン」を増やす
骨は負荷を感じると、骨代謝を司る「骨細胞」が「負荷に負けないように丈夫な骨を作れ!」という指令を出し、「骨芽細胞」を増やします。
これが「骨たたき」で骨が強くなるしくみです。
そして、この「骨芽細胞」は、「オステオカルシン」という重要なホルモンも分泌します。
「オステオカルシンは、骨芽細胞だけが分泌するホルモンで、血管から体中に運ばれ、多くの臓器を活性化します。"若返りホルモン"とも呼ばれ、糖尿病や認知症、生活習慣病の予防や改善にも効果が期待されています」(中村先生)
骨を強くすることは、全身の機能を保つことにもつながるのです。
さらに注目!
骨が丈夫になると見た目も若返る!
取材・文/岡田知子(BLOOM) イラスト/秋葉あきこ