か行、さ行、は行が聞き分けにくかったり、会話が聞き取りにくかったり、かみ合わなかったり...。もしかしたらその症状は、65歳から増加する「加齢性難聴」かもしれません。今回は、川越耳科学クリニック院長び坂田英明(さかた・ひであき)先生に、「聴力を保つスクワット&体操」を教えてもらいました。
【前回】65歳から「加齢性難聴」が増加! 医師が教える、聴力を保つための「生活習慣」とは
耳はとても小さく繊細な器官で、血流やリンパ液の流れが悪いとどんどん衰えていきます。
簡単にできる体操やマッサージで血流を改善し、耳を鍛えましょう。
有毛細胞を活性化させる
耳スクワット
【30分に1回】
30分ごとにいすから立ち上がると、内耳にある「耳石」が動いてその下にある有毛細胞を刺激し、活性化させます。
NASA(アメリカ航空宇宙局)でも宇宙飛行士に推奨している運動です。
1.座りっぱなしの状態が続いたら...
2.いすから立ち上がる
立ち上がるときに頭が動いて耳石を刺激する
3.ただ立ち上がるだけでOK
立ち上がったときに軽く体を動かすとより効果的
内耳を鍛える「1分しこ踏み」
【1日2セット】
片足を上げて頭や体を傾かせることで、平衡感覚をつかさどる三半規管や耳石に刺激を与え、音の振動を脳に伝える内耳の有毛細胞を活性化させます。めまいの改善にも効果的。
(1)つま先を外側に向け、両足を大きく開く
(2)片足を上げ、もう片方の足に重心をかけ、約2秒間キープ
(3)上げた足を下ろすときに同時に腰を落とす
(4)もう片方の足で同様に行う
(1)~(4)×5回で1セット。1日2セットを行いましょう。
耳の血流を促す「耳介マッサージ」
【1日1回】
耳介(外に飛び出している、一般的に「耳」といわれる部位)をまんべんなくもんで、耳周辺の血流を改善します。血流が良くなることで、耳の奥まで酸素と栄養が行き渡ります。
1.右手で右耳、左手で左耳の耳介の上部を持つ。持ち方は、耳介の後ろは親指で、耳介の前は人さし指の側面で押さえるように。
2.上から下、下から上へ、痛気持ちいいと感じる程度の力でまんべんなくマッサージする。
取材・文/岡田知子(BLOOM) イラスト/サノマキコ