新緑の季節はお出かけの機会が増える一方で紫外線量が急激に高まる時期。真夏だけでなく春から初夏にかけても、紫外線対策が重要です。そこで今回は、日本医科大学医学部皮膚科教授船坂陽子(ふなさか・ようこ)先生に「しみの悪化の防ぎ方」についてお聞きしました。
私たち世代に多いのは「老人性色素斑」
紫外線を多量に浴びて細胞の遺伝子が傷つくことで生じます
あなたは「しみ」ができやすいタイプ?
□ 肌は白い方だ
□ 日焼けすると肌が赤くなる
□ 子どもの頃は外で遊ぶことが多かった
□ 学生時代の部活動は屋外で活動する運動部だった
□ よく肌荒れする、ニキビができる
□ 血流が良くない、冷え性だ
□ 食べ物の好き嫌いが多い
当てはまるものが多い人ほどしみができやすい傾向が。しみが生じやすいのは、メラニンがたまりやすい体質の肌で紫外線をたくさん浴びた場合。また、しみ予防に役立つ抗酸化作用のある食材を食べているかなども左右します。
日焼け止めを塗っても濃く広がるしみ
新緑の季節はお出かけの機会が増えますが、紫外線量が急激に高まる時期でもあります。
日中出かけて夜寝る前のスキンケアで鏡を見ると、いつの間にかしみが濃くなったと感じる人もいるでしょう。
そんなしみは紫外線によって増えます。
「加齢に伴い多くの人を悩ますしみは、老人性色素斑が代表格です。老人性色素斑は、紫外線を多量に浴びて細胞の遺伝子が傷つき、メラニンという色素がたくさん作られ、沈着して生じます」と船坂陽子先生は説明します。
しみができる仕組み
肌の奥まで侵入した紫外線で細胞の遺伝子が傷つき異常になることで、黒っぽい色素のメラニンが多量に作られるようになり、肌に沈着することでしみになります。
1.日光が当たるとメラニン生成をするよう、情報伝達物質が出る
2.メラノサイトの中でメラニンが生成される
3.角化細胞がメラニンを受け取る
4.メラニンを持った角化細胞が、皮膚の表面に浮上していく
5.皮膚の表面がはがれ落ちる
しみの元凶の紫外線を防ぐために、外出時には日焼け止めを塗って日傘をさしているという人もいるでしょう。
それでも、老人性色素斑は年を重ねるにつれて大きく濃くなることがあります。
「ゴルフやテニス、ガーデニングなどに一生懸命取り組んでいると、汗で日焼け止めが流れてしまっても、そのままという人がいます。そういったことを繰り返すうちに、老人性色素斑は広く濃くなっていくのです。逆に日焼け止めをきちんと塗っていれば、老人性色素斑は防ぐことが可能ともいえます」と船坂先生。
紫外線量は春以降夏にかけて増えます。
真夏でなくても春から初夏にかけても、紫外線対策を心がけましょう。
《しみのいろいろ》
老人性色素斑(日光黒子)
紫外線によって多量に産生されたメラニンが沈着し、排出されないまま残った状態です。濃い褐色の丸形が特徴です。
肝斑
頰骨付近で左右対称に現れる薄茶色のしみです。女性ホルモンの乱れでメラニンが多量に作られることで生じます。
そばかす
子どもの頃から遺伝的に生じる小さな細かいしみのことです。紫外線を浴びると色が濃くなりやすいといわれています。
色素沈着
肌の摩擦や虫刺されなどで炎症が生じると、メラニンが作られてしみになります。これを色素沈着と呼びます。
【知っておきたいキーワード】
●ターンオーバー
表皮の細胞が新しく作られ、古い角質層がはがれ落ちる仕組みのこと。夏に日焼けした肌は冬に薄れますが、メラニンが沈着してターンオーバーでも排出されないとしみになります。それが老人性色素斑ともいえます。
取材・文/安達純子 イラスト/堀江篤史