「ちょいもれ」から、ジャーと出る「尿失禁」まで、その原因とは?/頻尿・尿もれ・夜間頻尿の治し方

頻尿や尿もれは、基本的には命に関わる病気ではありませんが、普段の生活が送りにくくなるので、非常につらいものです。家族であっても話しにくく、気持ちがふさいでしまう人もいるでしょう。そこで長年、泌尿器のトラブルを治療してきた医師・高橋悟先生の著書『全国から患者が集まる泌尿器科医の 頻尿・尿もれ・夜間頻尿の治し方』(毎日が発見)より、自分でできる「頻尿」「尿失禁」「過活動膀胱」の改善方法をご紹介します。

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※画像はイメージです。

自分の「尿もれ」がどのタイプか知って、対策を考える

頻尿だけでなく、尿もれにもさまざまなタイプがあります。

尿もれのことを医学用語で尿失禁といいますが、女性に多いのが、腹圧性尿失禁。

笑った瞬間や重いものを持ち上げたときにちょいもれしてしまうタイプです。

尿もれの原因が、過活動膀胱のことがあります。

がまんできないほどの尿意に襲われて、トイレにかけこむ前にもれてしまうことを切迫性尿失禁といい、過活動膀胱の典型的な症状です。

腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の混合型である混合性尿失禁もありますし、尿意がないのに尿がもれてしまう溢流性尿失禁もあります。

自分の尿もれがどのタイプなのかは、セルフチェックである程度わかります。

下のチャートに答えてみてください。

どのタイプの尿もれかがわかれば、原因や対策もわかり、症状の改善に役立ちます。


あなたはどのタイプの尿もれ?

P89_2.jpg※このチャートは目安です。正確な診断は医師の診察が必要です。


おなかに力が加わると、ちょこっともれてしまうのが「腹圧性尿失禁」

ものを持ったとき、せきやくしゃみをした瞬間、笑ったときなど、おなかに力が加わった際に起こる尿もれを、腹圧性尿失禁といいます。

もれる尿量はそれほど多くなく、いわゆるちょいもれといわれるタイプの尿もれです。

女性ではもっとも多く、40歳以上の人、肥満気味の人、2回以上の経膣分娩(産道となる膣を経て出産すること)の経験がある人などに多く見られます。

原因は2つあります。

ひとつは、骨盤底筋群という筋肉がゆるむこと。

骨盤底筋は男女ともに骨盤の底にあり、膀胱や直腸、子宮といった骨盤内にある臓器を下から支える役割をしています。

膀胱や尿道も支えていて、おなかに力が加わったときにもこれらの位置を正しく保つことで、膀胱の出口と尿道を締めて尿もれを防いでいます。

ところが、骨盤底筋がゆるんでいると膀胱や尿道が下がってしまい、尿道をうまく閉じることができません。

そのため、尿がもれやすくなるのです。

骨盤底筋がゆるみやすい人は、出産した人、加齢によって筋力が低下した人、女性ホルモンの分泌低下がある人、便秘がちな人、肥満の人などがあげられます。

女性は、骨盤底筋の衰えが進行すると骨盤臓器脱になることがあります。

骨盤底筋が骨盤内の臓器を支えきれなくなると、膀胱や直腸、子宮などがだんだん垂れ下がり、ひどくなると膣から臓器が出てきてしまうのです。

膀胱が出ている場合を膀胱瘤、子宮の場合は子宮脱、直腸の場合は直腸瘤と、症状のある臓器によって呼び方があります。

膀胱瘤になると頻尿や残尿感、腹圧性尿失禁を合併することもあります。

2つめの原因は、加齢によって尿道を締める尿道括約筋が衰えることです。

尿道括約筋は、膀胱から尿道につながる入り口で尿道を囲む筋肉で、尿をためるときには収縮し、排尿時に弛緩しますが、その力が弱くなってゆるみやすくなることで、尿もれしやすくなります。

尿道括約筋は男女とも加齢によって衰えます。

特に女性の場合は、閉経前後の女性ホルモンの減少で骨盤底筋がゆるみはじめるとともに、外尿道括約筋(尿道の出口にある筋肉)の働きも悪くなり、尿もれしやすくなります。

また、出産経験のある女性の場合は、経膣分娩の際に尿道括約筋が引き伸ばされて傷んでしまうことがあり、働きを悪くする要因です。

男性の場合は、加齢によって尿道括約筋の筋力や、働きをコントロールする神経の機能が低下することで、中高年に多い排尿後尿滴下の原因となります。

高齢になると、この2つの原因が重なって腹圧性尿失禁を引き起こしているケースも多くあります。

そうすると頻度も高くなり、日常生活への影響も大きくなります。

「たまに起きる程度だから」と放置していると、徐々に回数が増えてしまうこともあるため、注意が必要です。

改善するのにもっとも手軽で効果があるのが、骨盤底筋や尿道括約筋を強化する骨盤底筋トレーニングです。

尿道の出口にある外尿道括約筋は、自分の意思で動かすことができるため、しっかり締められるようにすることを目的としています。

2~3カ月続けると、効果があらわれてくるでしょう。

尿がもれるしくみ

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膀胱や尿道を支えているのは骨盤底筋。腹圧がかかると、これらの位置を正しくキープして尿道を閉じている。骨盤底筋がゆるむと、膀胱や尿道が下がり、尿道を閉じにくくなるので尿がもれる。

 

高橋 悟(たかはし・さとる)
1961年生まれ。日本大学医学部泌尿器科学系主任教授、日本大学医学部附属板橋病院病院長。群馬大学医学部卒業。虎の門病院、東京大学医学部泌尿器科助教授などを経て現職。2003年には、天皇陛下(現上皇さま)が入院された際の担当医師団も務める。悪性腫瘍から排尿障害、尿失禁まで、泌尿器に関わるあらゆる疾患を研究、診察している。

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全国から患者が集まる泌尿器科医の 頻尿・尿もれ・夜間頻尿の治し方

高橋 悟/発行:毎日が発見 発売:KADOKAWA)

長年、排尿障害や尿失禁を治療してきた名医が、治し方をやさしく解説します。尿のトラブルに悩み全国から訪れる患者に薦めているセルフケアをカラー写真で分かりやすく紹介。「頻尿」「尿失禁」「過活動膀胱」「排尿後尿滴下」などの症状の原因と治療法についても詳しく解説しています。

※この記事は『全国から患者が集まる泌尿器科医の 頻尿・尿もれ・夜間頻尿の治し方』(高橋悟/毎日が発見) からの抜粋です。
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