お風呂や睡眠、服装をチェック! 尿トラブルを防ぐ生活習慣/頻尿・尿もれ・夜間頻尿の治し方

頻尿や尿もれは、基本的には命に関わる病気ではありませんが、普段の生活が送りにくくなるので、非常につらいものです。家族であっても話しにくく、気持ちがふさいでしまう人もいるでしょう。そこで長年、泌尿器のトラブルを治療してきた医師・高橋悟先生の著書『全国から患者が集まる泌尿器科医の 頻尿・尿もれ・夜間頻尿の治し方』(毎日が発見)より、自分でできる「頻尿」「尿失禁」「過活動膀胱」の改善方法をご紹介します。

【前回】60代の7~8割が「夜間頻尿」!? 「足のむくみ」をとって軽減/頻尿・尿もれ・夜間頻尿の治し方

【最初から読む】おしっこトラブルは老化現象なの? 病気なの?/頻尿・尿もれ・夜間頻尿の治し方

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※画像はイメージです。

シャワーですまさず、ゆっくり湯船で体をあたためる

毎晩の入浴は、尿トラブルを改善するのに効果的です。

入浴によって血流がよくなったり、足に水圧がかかってむくみがやわらいだりすることで、膀胱にたまった水分が尿として排出されやすくなります。

そのため、寝る直前に入浴すると、夜中にトイレで起きてしまうことも。

遅くとも就寝の2時間前までの入浴を心がけてください。

また、ゆっくり湯船につかることで汗が出るのもいいことです。

就寝までに、たまった水分を排出しておけば、夜間のトイレ回数も減少してストレスも減っていくでしょう。

体の冷えも、頻尿や尿もれにつながります。

ぬるめの湯にゆっくりつかって体をしっかりあたためることが大切です。

効果的な入浴法

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入浴は血流をよくし、体にたまった水分が尿として出やすくなります。

寝る2時間前には入浴をすませ、しっかり排尿もしておきましょう。

【Point】
熱すぎる湯温は、血圧が乱高下して心筋梗塞などになるヒートショック事故を起こしかねません。38~40度のややぬるめのお湯にじっくりつかりましょう。

睡眠の質を上げて、トイレに起きる回数を減らす

眠りが浅いことが、夜間頻尿の原因となっていることがあります。

シニア世代は夜中に目が覚めてしまうことが多いのですが、実際には尿意がないのに「尿意で目が覚めた」と錯覚してしまうケースもあるのです。

夜間の尿量がそれほど多くなかったり、過活動膀胱の症状がなかったりする場合は、尿意で目が覚めたわけではなく、睡眠障害かもしれません。

その場合は、睡眠の質を上げることが夜間頻尿を解消する近道です。

眠りが浅い原因を探ってみましょう。

昼寝をよくしていませんか?

20分程度ならいいですが、それ以上寝ると夜の睡眠に影響が出る可能性があります。

また、寝つきをよくするために寝る直前に飲酒をすると、逆に深く眠れずに目が覚めてしまいます。

いびきが原因で睡眠障害が起きる、睡眠時無呼吸症候群の可能性も考えられます。

心当たりのある人は、医療機関を受診してください。

質のよい睡眠をとるには

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就寝前にスマホを見ない
スマホやパソコンの光(ブルーライト)は脳を覚醒させる作用があります。

就寝前のアルコール・カフェインをやめる
深い眠りを阻害します。アルコールやカフェインをとるのは寝る4~ 5時間前までに。

規則正しい生活をする
朝は太陽を浴び、日中は適度に運動、3食きちんと食べることで生活リズムが整います。

昼寝は15時前に、20~30分程度
夜の睡眠に影響しないよう、昼寝は長くて20~30分程度に。

ゆったりしたデザインで、体を締めつけない服を選ぶ

尿トラブルがある人は、服装や靴の選び方も気をつけましょう。

ポイントは、ゆったりとしたデザインのものを選ぶこと。

腹部をキュッと締めつけるようなスカートやパンツは腹圧がかかるので避けましょう。

上着もタイトなものよりゆったりしたデザイン、サイズを選びます。

ガードルや補正下着もなるべく避けましょう。

これらは常に腹圧がかかった状態になるため、尿もれしやすくなります。

男性にも同じことがいえます。ピッタリしたスキニーなパンツなどは、下半身を締めつけるので尿もれしやすくなります。

少しゆとりのあるものを選びましょう。

靴選びも重要です。

フィットしていない靴で足を締めつけていると、足だけでなく骨盤内の血流も悪くなり、膀胱や尿道の機能を低下させることがあります。

体を冷やさないことも服装選びには大切です。

特におなかの冷えは尿意の原因になるので、ショーツはおへそまでしっかり覆うタイプにしましょう。

おすすめファッション

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(1)締めつけない
ウエストはきつすぎず腹部を締めつけないものを。全体に少しゆったりとしたデザインのファッションがおすすめです。

(2)あたたかいもの
冷えは尿トラブルの大敵。特に下腹部の冷えは禁物です。おなかまわりは夏でも冷やさないよう、機能性下着などで工夫を。

(3)軽いもの
重さのある服は肩が凝り、間接的に内臓にも負荷がかかります。特に冬は、軽くてあたたかな素材の服を選びましょう。

尿もれパッドなどのアイテムを時と場所に合わせて利用してみる

尿トラブルで大切なことは、QOL(生活の質)を下げないことです。

尿もれや頻繁にトイレに行かなければならないことを心配して外出を避けたりしていては、人生を謳歌できません。

そんなときは、尿もれパッドや尿もれパンツを使用するのがおすすめです。

最近発売されているものは、機能性もファッション性もすぐれています。

吸水性があり消臭機能もあるのに見た目は普通の下着と変わらないショーツ、厚みをあまり感じさせないパッドなど、さまざまな種類があります。

排尿日誌をつけ、自分の尿量を確認し、適切なものを選びましょう。

もちろん男性用もあります。

一度使ったら手放せなくなるかも、とは思わずに、トレーニングと併用して「ちょっと助けてもらおう」ぐらいの感覚で気軽に使ってみましょう。

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知識を身につけ、「骨盤底筋トレーニング」「膀胱トレーニング」「足上げ寝」などのセルフケアを実践し、尿トラブルを防ぎましょう。

 

高橋 悟(たかはし・さとる)
1961年生まれ。日本大学医学部泌尿器科学系主任教授、日本大学医学部附属板橋病院病院長。群馬大学医学部卒業。虎の門病院、東京大学医学部泌尿器科助教授などを経て現職。2003年には、天皇陛下(現上皇さま)が入院された際の担当医師団も務める。悪性腫瘍から排尿障害、尿失禁まで、泌尿器に関わるあらゆる疾患を研究、診察している。

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全国から患者が集まる泌尿器科医の 頻尿・尿もれ・夜間頻尿の治し方

高橋 悟/発行:毎日が発見 発売:KADOKAWA)

長年、排尿障害や尿失禁を治療してきた名医が、治し方をやさしく解説します。尿のトラブルに悩み全国から訪れる患者に薦めているセルフケアをカラー写真で分かりやすく紹介。「頻尿」「尿失禁」「過活動膀胱」「排尿後尿滴下」などの症状の原因と治療法についても詳しく解説しています。

※この記事は『全国から患者が集まる泌尿器科医の 頻尿・尿もれ・夜間頻尿の治し方』(高橋悟/毎日が発見) からの抜粋です。
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