恥ずかしがらずに早めに受診を! 高齢だからと諦めたくない「骨盤臓器脱」の症状と治療法

成人女性の3人に1人がかかり、80歳までの女性では10人に1人以上が手術を受けている骨盤臓器脱。高齢だからと諦めてしまっている人や、恥ずかしさから受診をためらっている人も多いようです。そこで今回は、東邦大学医療センター大森病院リプロダクションセンターセンター長の永尾光一(ながお・こういち)先生に「骨盤臓器脱」ついてお聞きしました。

骨盤臓器脱とは、膀胱や子宮、直腸といった骨盤内の臓器が下がり、膣の外にはみ出てきてしまう病気です。

本来、これらの臓器は骨盤の底の筋肉や靱帯などの「骨盤底」に支えられていますが、何らかの原因で骨盤底が緩み、臓器を支えきれなくなることで起こります。


主な種類
・膣の前側の膣壁が緩む「膀胱瘤」
・子宮を支える組織が緩む「子宮脱」
・膣の後ろ側の膣壁が緩む「直腸瘤」

主な治療法
・骨盤底筋トレーニング
・腹圧をかけない生活
・装具(ペッサリー・サポート下着など)の着用
・手術療法

骨盤底はどこにある?

骨盤の骨の中央は大きな空洞になっている。骨盤底が塞いで、臓器を支えている。

【横から見た図】

2108_P090_01.jpg

【下から見た図】2108_P090_02.jpg


成人女性の3人に1人がかかり、80歳までに10人に1人以上の女性が手術を受けている身近な病気です。

最も大きな原因は妊娠・出産です。

妊娠中に胎児の重みで負担がかかったり、出産時に骨盤底の筋肉を傷つけられたりするからです。

また、加齢とともに臓器を支える力が衰えたり、肥満、便秘、重い物を持つ動作などで、強い腹圧がかかったりすることも一因です。

ぜんそくなどでの慢性的な咳も骨盤底に大きな負担をかけます。

命にかかわる病気ではありませんが、歩きにくくて日常生活に支障が出たり、頻尿、尿漏れが気になって外出をためらったりと、生活の質が下がります。

臓器が下がり過ぎると排尿障害や排便障害が起こることもあります。

残尿の増加や尿管の圧迫により水腎症(※1)になり、やがて腎盂腎炎(※2)や腎臓の機能障害を起こすこともあります。

※1 腎臓で作られた尿の流れがせきとめられて、尿の通り道や腎臓の中に尿がたまって拡張した状態。

※2 膀胱から細菌が逆流することによって引き起こされる、腎盂および腎臓の感染症。


骨盤底筋を鍛えて予防と改善を!

(1)あおむけになり、腕は体の横に。

(2)両ひざを少し立てて、足を肩幅くらいに開く。

2108_P091_01.jpg

(3)膣→尿道→肛門の順に締めて、5~8秒保つ。

(4)さらに強い力で1~2秒、短く3回締める。5~10秒休み、(3)(4)を10回繰り返して1セット。目安は1日6セット

以上。3カ月程度続けることを目標に!

※尿漏れの予防にも効果がある。

骨盤臓器脱の気になる症状

□股の間に何かが下がってくる感じがする
□股の間からピンポン玉のようなものがはみ出てくる
□何かが挟まっているようで歩きにくい
□何かが下着にこすれて出血する
□尿が近い
□立ち上がると急な尿意で尿漏れする
□股にふたをされたようで尿が出にくい
□排便しようとすると何かが下がってきて便が出にくい
□排便した後、股から何かがはみ出ていて拭きづらい
※初期では夕方に症状が出ることが多い。


高齢だからと諦めず日常生活の悩みを解決

診察の基本は問診と内診(※3)です。

必要に応じて、尿検査や残尿測定、画像検査をすることもあります。

治療は、症状を軽減するための保存療法と、根本的に治すための手術療法の二つです。

まずは保存療法で様子を見ます。

骨盤底筋トレーニング(上参照)で骨盤底を鍛える他、重い物を持たない、便秘や肥満を改善するなど腹圧がかからない生活の工夫、装具を着用して補強する方法が有効です。

ペッサリーは膣の中に挿入して臓器を支える装具で、健康保険が適用されるタイプとそうでないタイプがあります。

自分で着脱できますが、正しく使用しないと膣の壁に慢性的な炎症が起きたり、痛みやにおい、おりものの増加を伴うこともあります。

保存療法で改善が見られない場合や不快感や痛みを伴い生活の質を著しく損なう場合に、手術を検討します。

自分の皮膚を使って補強する新しい方法もあります。

メリットとデメリットを考慮しながら手術法を選択します(下参照)。

恥ずかしいからといって受診をためらうことなく、産婦人科や泌尿器科で気軽に相談してください。

※3 専門の器具で膣の壁を押さえながら、膣の状態を診察すること。


どんな手術方法がある?

※医療機関によって実施していない手術方法もある。

2108_P091_02.jpg2108_P091_03.jpg2108_P091_04.jpg2108_P091_05.jpg※4 感染、びらん、露出、慢性的な疼痛、排尿障害などが挙げられる。米国では合併症への懸念からメッシュ販売中止などの動きもある。

【記事リスト】「私たち世代の持病対策最前線」他の記事はこちら!

取材・文/古谷玲子(デコ) イラスト/片岡圭子

 

<教えてくれた人>

東邦大学医療センター大森病院リプロダクションセンターセンター長
永尾光一(ながお・こういち)先生
1960年生まれ。昭和大学で形成外科学を8年間専攻後、東邦大学で泌尿器科学を専攻。二つの基本領域専門医を取得。医学博士。生殖医学領域形成外科的手術が専門。

【毎日が発見ショッピング】失禁対策ガードルショーツ

 

manaita.jpg

【毎日が発見ショッピング】失禁対策ガードルショーツ
人気の売り上げ枚数累計35,300本達成!高機能の3層パッドとせき止めテープでもれた尿をしっかりガード。 安心の消臭機能付きです。ウエスト部分は幅の広いパワーネットを使用し長時間着用でもラクな履き心地が嬉しいポイント!

▶詳細はコチラ!

この記事は『毎日が発見』2021年8月号に掲載の情報です。

この記事に関連する「健康」のキーワード

PAGE TOP