夜間頻尿は「ふくらはぎのむくみ」が原因かも...? 起きている間の弾性ストッキングでむくみ予防

夜中にトイレに行きたくなって起きてしまうこと、ありませんか? 実はその原因の一つが〝足のむくみ〟だったのです。むくみを解消してぐっすり眠りましょう。今回は日本大学医学部 泌尿器科学系 主任教授の髙橋 悟(たかはし・さとる)先生に「昼間の足のむくみを解消する"弾性ストッキングが"夜間頻尿に効果的な理由」について教えてもらいました。

【前回】就寝後の排尿の回数は? 快眠を妨げる「夜間頻尿」の原因をチェック!

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日中に摂った水分を夜間に持ち越さないために

夜間頻尿の原因はさまざまですが、近年特に注目されているのが〝足のむくみ〟です。

「夕方になると足がパンパンになったり、重だるく感じることがあるでしょう。それは、本来なら尿として排出されるべき水分が下半身に滞っているからです。

ふくらはぎは〝第2の心臓〟といわれるように心臓とともにポンプの役割をして血液を全身に循環させています。血液中には水分が含まれていますが、私たちの体は体内の水分量を一定に保とうとするため、余分な水分があると腎臓で尿にして、膀胱を経て体外に排出します。

ふくらはぎのポンプ機能が正常であれば、血液が下から押し上げられて上半身へいき、余分な水分は尿に。しかし、ふくらはぎの筋力が衰えると血液がうまく循環せず、水分は血管から漏れ出してふくらはぎの皮下や筋肉の間にたまってしまうのです。これが足がむくむしくみです」(髙橋先生)


ふくらはぎに水分がたまるしくみ

[健康な人]

心臓やふくらはぎの筋肉などのポンプ作用により、血液は全身を循環しています。下半身から上半身に送られた血液中の余分な水分は腎臓でろ過され膀胱へたまり、排出されます。夜間頻尿は「ふくらはぎのむくみ」が原因かも...? 起きている間の弾性ストッキングでむくみ予防 2103_P022_01.jpg

[筋力のない人]

加齢などで筋力が低下すると、血液を押し上げる力が弱まります。余分な水分は上半身に戻らないので腎臓や膀胱に送られず、ふくらはぎにたまるので足がパンパンにむくみます。夜間頻尿は「ふくらはぎのむくみ」が原因かも...? 起きている間の弾性ストッキングでむくみ予防 2103_P022_02.jpg

[夜]

横たわると重力の影響が弱まるため、血液と水分は足から上半身に移動しやすくなります。そして余分な水分が尿として膀胱にたまり、睡眠中の尿意につながります。夜間頻尿は「ふくらはぎのむくみ」が原因かも...? 起きている間の弾性ストッキングでむくみ予防 2103_P022_03.jpg


昼間の足のむくみがどうして夜間頻尿につながるのでしょう。

「夜、横になって体が水平になると、ふくらはぎにたまった水分が血管に戻って膀胱に送られるので尿意を感じるのです。

つまり昼間、特に夕方に足がむくまなければ夜トイレに行きたくなることも減ります。そのために有効なのが足のむくみをとるために開発された医療用の〝弾性ストッキング〟です。

弾性ストッキングで夜間頻尿を抑える効果はすでに認められており、2020年に発表された『夜間頻尿診療ガイドライン』でも推奨されています」(髙橋先生)

弾性ストッキングの選び方・はき方

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ハイソックスタイプ
初めてはくなら、ひざ下までのハイソックスタイプを。蒸れにくいので一年中快適です。つま先はあり・なしどちらでも良いでしょう。

やや大きめサイズをチョイス
圧迫が強過ぎると痛みなどが生じることも。初めて選ぶときは締め付けがゆるやかな"やや大きめ"サイズを選びましょう。

朝から寝るまではく
日中起きているときは常にはき、ふくらはぎのポンプ機能を高めて足のむくみを予防しましょう。寝るときははずしてOKです。

【注意!】持病がある人は、かかりつけ医などに相談してから使いましょう。

《弾性ストッキングは下肢静脈瘤も改善します》
「下肢静脈瘤」は、足の静脈にある血液の逆流を防ぐフタ(弁)が壊れ、血液がたまってコブのように浮き出て見えたり、むくみやほてり、疲労感が出る疾患。医療用弾性ストッキングでふくらはぎを適度に圧迫することで、逆流防止弁の働きを助けたり、血行を促して足のむくみやほてりなどの症状を抑えたりする効果があります。

【次回:入浴は寝る3時間前まで! 「夜間頻尿」を改善したいときに見直すべき6つの生活習慣】

【まとめ読み】特集「夜間頻尿を治して快眠!」記事リストはこちら!

取材・文/湊 香奈子 イラスト/木波本陽子

 

<教えてくれた人>
日本大学医学部 泌尿器科学系 主任教授
髙橋 悟(たかはし・さとる)先生
群馬大学医学部卒業。東大病院、虎の門病院、都立駒込病院などを経て2005年より現職。03年には、天皇(現上皇)陛下が入院された際の担当医師団も務める。悪性腫瘍から排尿障害、尿失禁まで、泌尿器に関わるあらゆる疾患を研究、診察している。

日本排尿機能学会

 

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この記事は『毎日が発見』2021年3月号に掲載の情報です。

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