病院に行くタイミングは...? 医師・鎌田實さんにお聞きした「コロナ対策のいま」

2020年1月、日本で新型コロナウイルス感染症の1例目が発表されて以来、私たちの生活は大きく変わりました。家にこもり、黙って食べ、人に触れない...そんな味気ない日々がもう1年近くも続き、疲れ果てた人も多いでしょう。そこで医師で作家の鎌田實先生に「コロナ対策のいま」をお聞きしました。

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●日本はなぜ被害が少ないのですか?

日本人の衛生観念、清潔好きなところが感染拡大を食い止めていると思います。

まずはコロナ感染拡大前から続けてきた手洗い、風邪のときのマスクの着用、家の中で靴を脱ぐ、掃除好き、などが考えられます。

さらにあいさつ時に握手、ハグ、キスなどではなく、会釈と笑顔で触れ合わずに済ます習慣、諸外国と比べて大声で話す人が少ないことなども影響していると思います。


日本と主な国の新型コロナウイルス感染者数と死者数(10月8日現在)

2011_P012_01.jpg※東アジアでは、中国は感染者85,489人、死者4,634人、韓国は感染者24,703人、死者433人となっている。

※上のグラフはジョンズ・ホプキンス大学の発表をもとに作成したものです。


また肥満が少ないことはコロナ感染後に重症化する人が比較的少ないことに関係しているといわれています。

BCG接種などによる集団免疫説や特有の遺伝子説などもありますが明確な答えはありません。

「日本人は感染しても重症化しにくい」などと過信はしないように。

重症化して苦しむ人は一定数存在します。

コロナウイルスは感染力が強く、無症状の人から感染してつらい症状に陥るケースもあるので、引き続き手洗い、マスク、人との距離を置き、食事の際の飛沫感染を予防するように心がけましょう。

再び感染拡大は起きる?

もうしばらく我慢と警戒を続ける必要があると思います。

4月後半の大きな第一波の教訓を生かして、8月後半の第二波は重症者と死者が減り、大きな波にはならずに済みました。

しかし一足先の8月に外食、イベント、旅行などの規制を緩和したイギリス、フランス、スペインなどでは、感染者が急増し、再び営業時間の短縮や外出自粛を呼びかけています。

日本も経済活動を活性化するために自粛が緩和され、人出が増えています。

しかし、私たちが油断をすれば未知のウイルスが体に侵入して、過酷な肺炎症状になる可能性があると考えておきましょう。

もうしばらく我慢と警戒を続ける必要があると思います。

●治療は進歩しているのですか?

特効薬はまだありませんが、治療薬として認可される薬が増え、治療の選択肢が増えました。

ワクチンはまだありませんが、接種したとしてもウイルス感染を完全に防御できるわけではなく、副作用などの安全性の確認にも時間がかかります。

コロナウイルス感染患者に対する治療成績は、母校の東京医科歯科大学のように勇敢な医療者のおかげで、死者数が増加していないことからも向上していると評価できます。

そんな日進月歩の医療情報に関心を持ち、自分や自分の大切な人が感染したときに役立てましょう。

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●インフルエンザの季節に差し掛かっています...

日常での注意と情報収集を忘れずにしましょう。

主要なウイルスは寒くなって空気が乾燥すると感染しやすくなるため注意する必要があります。

季節性のインフルエンザは毎年11月頃から流行が始まり、12月から1月にピークとなり、2月頃まで感染者が出ます。

厄介なのは新型コロナとインフルエンザという二つのウイルス感染時の症状がとてもよく似ていることです。

インフルエンザには確立した治療法があり、早期治療が大事です。

新型コロナウイルスに感染してしまった場合は、治療法が異なる上に重症化することもあり、さらに人にうつさないように注意が必要です。

●病院に行くタイミングは?

・37.5度以上の熱
・倦怠感
・味覚異常
・息苦しさ
・喉の痛み
などを感じたら、かかりつけの医療機関に電話で確認した上で、予約などを取ってから受診するようにしましょう。

長く続く発熱を我慢し過ぎてしまうと治療が遅れて重症化することがあるので、注意しましょう。

鎌田先生の母校】東京医科歯科大学の医療体制は

人工呼吸器やECMO(体外式膜型人工肺)を必要とする重症患者と中等症患者の治療を行っている鎌田先生の母校・東京医科歯科大学は、4月2日から付属病院でコロナ陽性患者を積極的に受け入れ、たくさんの命を救っています。

「仰向けのままでいると背中側の肺胞の血流が悪化するので、医療スタッフが8人がかりで人工呼吸器をつけた患者さんをうつ伏せにするのが腹臥位療法。人工呼吸器を装着する患者さんに一酸化窒素(NO)を吸入させて肺に送り込み、NOの作用で血流と酸素状態を改善させようというのがNO吸入療法。どちらも手間がかかる治療法ですが後輩たちが頑張っています」と鎌田先生。

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重症患者の腹臥位療法の様子。8人がかりで寝返りを打たせる(写真上)。退院が決まった患者と医療スタッフ(写真下)。

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【まとめ読み】特集「コロナにならない生活習慣」記事リスト

 

<教えてくれた人>
鎌田 實(かまた・みのる)さん

1948年生まれ。医師、作家、諏訪中央病院名誉院長。チェルノブイリ、イラクへの医療支援、東日本大震災被災地支援などに取り組んでいる。『だまされない』(KADOKAWA)など著書多数。

■鎌田實先生の新しい本が出ました!

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「コロナ時代を生きる ヒント」

(鎌田 實/潮出版社)

豊かな「死」を取り戻すために奮闘する人々との対話を通じて、鎌田實先生がたどり着いた「死」の実像とは――? “カマタ流”の温かくて柔らかい「人生の終(しま)い方」に触れられる、鎌田先生の新刊です。

■「認知症予防」をもっと詳しく知りたい人は!

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「図解 鎌田實医師が実践している 認知症にならない29の習慣(朝日出版社)

今回、鎌田先生が紹介してくださった「認知症予防」が詳しく解説されている最新刊! 医学的に正しい認知症予防の方法が、豊富なビジュアルとともに紹介されています。
「速遅(はやおそ)歩き」「青魚、えごま油、高野豆腐を食べる」「新聞から4つの単語を選ぶ」など、無理なく日常生活で実践できる習慣がわかりやすく解説されています

■鎌田實先生の特集が一冊の電子書籍に!

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定期誌『毎日が発見』の大人気特集が電子ブックになって登場!! 
「ぼくは67歳で筋トレを始めてから、人生が変わった!」と話し、ご自身を「スクワット伝道師」という鎌田實先生(71歳)の健康法を大公開。「スクワット」や「かかと落とし」など無理なくできる「筋トレ」の方法をはじめ、ゆで卵やジュースなどの「若返りごはん」レシピ、「心の若返り方」や、若々しい先生の「着こなしの極意」まで、盛りだくさん。保存版の一冊です!!

この記事は『毎日が発見』2020年11月号に掲載の情報です。

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