顔から汗が止まらない、イライラが抑えきれない、 悲しくもないのに涙が出る...それは「女性ホルモン」が原因かもしれません。そこで、15年間婦人科に通い続けドクターと二人三脚で若年性更年期を乗り越えた葉石かおりさんの著書『死んでも女性ホルモン減らさない!』(KADOKAWA)より、女性ホルモンと更年期の関係や食生活、運動、心のケアについてご紹介します。
ホルモン補充療法の不安解消 Q&A
Q:低用量ピルを飲むと太りますか?
A:ピルによって、一時的に水分で体重が増えることはあっても、いわゆる脂肪が増えて肥満になることはありません。
日本産科婦人科学会のガイドライン(*)にも「低用量ピルと体重増加との因果関係が明らかにされたものはない」と報告があります。
私の場合、最初に試したピルでは、むくみのため1週間で2キロ体重が増えました。
クリニックに行き、漢方薬の五苓散を処方してもらったところ2日で元の体重に。
その後は、大幅に体重が増えたことはありません。
いずれにしても更年期は女性ホルモンの減少と加齢により代謝が落ちる影響で太りやすくなるため、毎日体重計に乗るなど日々の自己管理が大切です。
*参考資料:低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤ガイドライン(案) 2015 年3月
Q:HRTは乳がんになるってホント?
A:HRTを受けるにあたり、多くの方が乳がんとの関係性を不安視されます。
その原因の一つとして、アメリカのWHI(Women's Health Initiative)が1991年より50~70代の閉経後女性16万1808人を対象に、がん、心血管系疾患、骨粗しょう症などの調査を行った研究結果が挙げられます。
WHIは2002年に「HRTは乳がん、心血管系疾患のリスクを上げる」と中間発表。
しかしこれには対象者のHRT開始平均年齢が63歳、約半数が喫煙者、35%が高血圧症など、そもそも対象としてふさわしくないという問題点がありました。
また食生活が日本人と異なる外国人が対象というのも正直疑問です。
その後、厚生労働省が日本人女性を対象に行った調査(※)では、全く逆の結果が報告されました。
それは「乳がんのグループに比べ、乳がんではないグループの方に約2倍のHRT経験者がいた」というもの。
もちろんこの結果だけでは「HRTは絶対乳がんにならない」とは言い切ることはできません。
HRTと乳がんの因果関係については現在も国内外で調査が行われています。
また乳がんのリスクはHRTだけとは限りません。
乳腺疾患(異型過形成)の経験、家族に乳がん経験者がいるなど原因はさまざま。
HRTに関係なく、日々のセルフチェック、年に一度の定期的な乳がん検診を心がけましょう。
※45~69歳の日本人女性が対象。過去10年間以内に乳がんの手術を受けた女性と、受けていない女性にHRTなど21項目のアンケート調査を2004~2005年秋に実施。
乳がんになるリスクと考えられている主な要因
*エストロゲン単独のHRT におけるリスクは明確になっていない乳癌診断ガイドライン ②疫学・診断編 2018 年版(日本乳癌学会編)より
Q:HRTの副作用は? いつまで続けたらいいの?
A:HRTに限らず薬につきものなのが副作用。
個人差がありますが、HRTで現れやすい副作用は軽度の乳房の張り、性器出血(特に服薬を始めたころに起こりやすい)、吐き気、頭痛などがあります。
私の場合、ピルからHRTへの移行時の初期に少量の性器出血が頻繁にありました。
こういう時は迷わずクリニックに電話です。
「まず服薬を3~4日止めてみてください」という医師の指示通りにするとピタッと止まりました。
HRTが原因と思われる何らかの副作用があると思ったら自己判断せず、クリニックへ連絡し指示をあおぐ。
それでも治まらない場合はできるだけ早く診察してもらいましょう。
またHRTの継続期間ですが、最終的な選択肢は「自分」にあります。
私の周りでも更年期を過ぎ、不快な症状も出なくなったし、薬に頼りたくないから止めたという人も実際にいます。
私はできれば長く継続したいと考えています。
それにはやはり信頼のおけるパートナードクターの存在が重要なのです。
女性ホルモンと更年期の関係や、更年期での食生活・運動・心のケアなどが、3章にわたってわかりやすく解説されています