<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ぱんち
性別:女
年齢:44
プロフィール:夫と私、子供2人の家族です。派遣社員をしています。
私は小さい頃から母に「〇〇ちゃんなら大丈夫」と言われて育ってきました。
ですが過保護に育てられていにたわけではありません。
母は私が幼稚園の頃からフルタイムで働いていました。
今の時代では信じられない話ですが、幼稚園のバスに母のお迎えはなく、一人でバスを降りて家に帰りました。
幼稚園からの鍵っ子です。
母が仕事から帰ってくると、寂しかった私は疲れているはずの母にマシンガントークで1日にあった話をしました。
母はいつも笑顔で聞いてくれました。
友達とのトラブル、できなかったことで泣いたりしたときに、いつも母から「〇〇ちゃんなら大丈夫」と言われ、安心して眠ったことを覚えています。
そうして大人になった私には、母との忘れられないエピソードがあります。
16年前、私が28歳の時のことです。
当時2歳になる娘が、急性リンパ性白血病を患ってしまったのです。
自分の娘がそんな大きな病気になるなんて...信じられませんでした。
当時は映画『世界の中心で、愛を叫ぶ』が大反響だった頃で、私はその影響から「白血病=死んでしまう」というイメージがついていました。
(映画は昔の話で、実際は白血病は治る病気になっていたのですが)
医師の先生からのお話の後に、すぐに親友A(当時29歳)に電話をしました。
子供の年齢が近くて姉御肌の親友A。
子供が生まれてから本当に仲良くしていました。
心配で電話を待っていた親友Aに「白血病だった」と告げると、
「辛いよね。わかるよ。余命は? どれくらいなの?」
耳を疑いました。
「治るって言われた」
「あ、そうなんだ。そうだよね。死んじゃうわけないよね。やだー死んじゃうかと思って泣いたんだよー。もう心配で心配で......」
自分の発言を取り繕いながらも、Aの甲高い声が笑っているように感じました。
ねえ、嘘でしょ?
Aがどんなつもりで言ったのかわかりませんが、私はショックでした。
電話を切ってぽかーんとした心。
なんでAなんかに電話したんだろうと後悔しつつ、そのあとすぐに母に電話をしました。
「お母さん、白血病って言われた」
「大丈夫よ。治るから。治るよ。大丈夫」。
母の力強い言葉に、人目も気にせず泣きました。
すごくショックを受けた数分後に、母に魔法をかけられました。
そして、私も治ると思えるようになりました。
夫にも、「母が治るって言ってたから信じよう」と。
夫も魔法にかけられました。
私たちの生きるエネルギーになったんだと思います。
先日あの時のことを母に聞いてみたら、意外な本音も聞けました。
「本当はすんごいびっくりしたけど、〇〇ちゃん(私)の声聞いたらとても辛そうで、そしたら〇〇ちゃんの子だから大丈夫って頭をよぎったんだと思う」
今では、その母の言葉通り、娘は大きな病気をしたとは思えないほど、人生を楽しんで生きています。
そして、親友Aとは疎遠になりました。
関連の体験記:「あの名前、良くないんだよー」クラス全員の「姓名判断」をして得意気に批判するママ友...
関連の体験記:体調を崩した上に、認知症の義母に怒鳴られた義叔母を「復活」させたのは...?/バニラファッジ
関連の体験記:「もう離婚だね!」罵りあった夫婦ゲンカの翌朝、息子が用意した「ある仕掛け」
- ※
- 健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
- ※
- 記事に使用している画像はイメージです。