ストレスの順位付けで悩みが解消!「不眠」知らずになれる悩みのマネジメント術

仕事に家事にと頑張って、倒れるように眠る毎日。朝起きると疲れは取れていないし、集中力もすぐ切れてしまう...。それ、全て「眠り方」に問題があるかもしれません。そこで、メンタルヘルスと睡眠の専門家・和田隆さんの著書『仕事のストレスをなくす睡眠の教科書』(方丈社)から、心身ともに健康を保つための「ストレス解消睡眠法」について連載形式でお届けします。

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ストレス順位表でストレスを管理する

学校を卒業し就職すると、先輩社員から「仕事に優先順位をつけろ」と教えられます。重要かつ急ぎの仕事、重要だがまだ締切りまで時間がある仕事、難易度の高い仕事、難易度の低い仕事といった具合に、重要さと難易度、期限までの時間を勘案して、片付けていく順番を決めます。

まさに自分の仕事を管理(マネジメント)する上で最も基本的なことですが、この手法を知らないと、どれから手をつければよいのかわからず、たちまちパニックになってしまいます。

私は、ストレス管理にもこの手法を応用することをすすめています。自分を悩ませていることを1位から10位までランキングしてみるのです。これはストレスをなくす重点ポイントである「セルフチェック アンド アクション」の展開のひとつです。

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この時、単に「仕事」とか「人間関係」とか書くのではなく、できるだけストレスの内容を具体的に書き込むことがポイントです。ストレスの様相を具体的につかむことができるからです。「悩み」「つらさ」といった抽象度の高い問題を分解すれば、対処できる問題と対処できない問題が明確になります。

そして、その内容は仕事上のことなのか、プライベートなことなのかもわかるように、「チェック欄」も作っておきます。例えば、私生活のことでストレスを多く抱えていることが判明したら、「仕事中心で家庭のことを後回しにしていたかもしれない」というように、仕事と私生活のバランスや偏りに気づくことができます。

問題解決能力を高めれば不眠も解決する

ストレス順位表で自分を悩ませている事柄を明確にする方法を紹介しました。では、どこから解決していけばよいのでしょうか。

小さいストレスから解消していくのです。なぜなら、下位の問題は解決しやすいからです。解決しやすいからこそ下位にあるのです。まず、小さなストレスを積極的に減らしていくことが大切です。

そして、最も気になっている1位に書いた「悩み」について考えてみましょう。

「皆さんは、自分の一番の悩みをどのように解決しますか?」

この質問に即答できる人は少ないと思います。

なぜなら、一番にした問題は、「解決の方法がわからない」「解決できないと認識している」からこそ一番なのです。

私たちは、すぐに解決できる問題で深く悩むことはありません。

責任感の強い人は、何でも自分で解決しようとします。これは一見素晴らしいことのように思いますが、問題を抱え込んでしまうだけで、何もかも中途半端になり、結局どれひとつ解決できないという結果を招いてしまいます。では、どうすればよいのでしょうか。

それは、他者のサポートを受けて問題に対処する。それしかありません。

自分で問題を解決できないのは、解決の方法がわからない、または、解決するスキルが十分ではないからです。そもそも悩んでいる状態とは、問題を解決する能力が低下している状態です。思考狭窄になり、課題を解決するための選択肢も少ないことが多いのです。

他者は客観的にあなたの問題を分析し、選択肢もあり、あなたにはない解決に役立つスキルを持っています。問題を解決できなかったとしても問題を小さくすることができます。すると、それは一番の悩みではなくなります。つまり、あなたの悩める問題は、あなた以外の人が解決できる問題です。

あなたの周りには、あなたを助けてくれる人がいます。勇気を出して、「助けてほしい」「実は、困っていることがあります」と誰かに打ち明けてください。その瞬間、あなたの問題解決能力は飛躍的に上がります。つまり、問題解決能力の高い人とは、自力で解決することに執着しない人です。

例えば、1位に、「上司のパワハラ」と書いたとします。それは自力で解決するのは難しい問題です。その上司とは一緒に仕事をしていかなければならず、これ以上関係を悪くしたくはない。相手は自分よりパワーがあるので、「やめてほしい」とも言いにくい。

パワハラという問題が自分で解決できないのではなく、パワハラが一番の悩みになっている人には解決が難しいということです。

ですから、パワハラが一番の悩みになっている人は、辞めるか異動願いを出す、訴えるか我慢するか程度の選択肢しかないことが多く、どちらも選択できない葛藤を抱え、苦悩し、不眠になってしまうのです。

私は、そういった自力解決困難な人の力になるためにパワハラ防止の支援もしています。パワハラ問題で不眠になった人には、一般的な睡眠改善のアプローチではなく、パワハラ問題を解決するアプローチが必要なのです。

周囲の支援を受けることをソーシャルサポートと言います。身近な人だけでなく、専門的な問題は、専門家のサポートを受けることが大切です。体の不調は医師、介護は介護支援専門員、法律問題は弁護士、心の悩みはカウンセラーなど、あなたの困っている問題に対して、専門家のサポートを積極的に受けることをおすすめします。

これまで私のカウンセリングで「問題が解決して眠れるようになりました」という相談者の多くは、周囲の人や専門家のサポートを受けた人たちです。問題は大きくなる前に対処したほうが解決しやすいことは言うまでもありません。

ストレスというのは悪者扱いされることが多いですが、私たちが「よりよく生きる」ためになくてはならないものです。ストレスをなくすのではなく、「ストレスと上手に付き合うこと」が大切です。それが、ストレスマネジメントなのです。

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和田 隆(わだ・たかし)

メンタルプラス株式会社代表取締役、ウェルリンク株式会社シニアコンサルタント。メンタルヘルスやハラスメント防止の専門家として活動する傍、これまで1500回以上の講演、研修を実施。受講者数は10万人以上。近年では睡眠と健康に関する知識や正しい睡眠の実践、継続を習慣化する睡眠マネジメントを推進している。

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『仕事のストレスをなくす睡眠の教科書』

(和田 隆/方丈社)

「疲れが取れない」「やる気がでない」「眠れない」という方に朗報!それら全てを引き起こすストレスと不眠のメカニズムや、健康を取り戻すための正しい睡眠実践法が図解でわかりやすく学べます。チェック表を使えば快眠習慣の自己管理も!

※この記事は『仕事のストレスをなくす睡眠の教科書』(和田隆/方丈社)からの抜粋です。
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