鼻粘膜の衰えを防ぐ簡単ケア!1日2回「鼻洗浄」のススメ

加齢に伴い、「鼻水が出やすくなった」「風邪薬や花粉症の薬を試しても、一向に症状が良くならない」と感じている方は多いかもしれません。鼻粘膜機能の衰えによる老化現象のひとつに「老人性鼻漏」があります。今回は日本医科大学武蔵小杉病院耳鼻咽頭科部長・松根彰志先生に、老人性鼻漏の症状を和らげる「鼻洗浄の方法」について教えていただきました。

前回の記事「老人性鼻漏の基礎知識」の記事はこちら

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基本的な治療方法はなく、鼻粘膜のセルフケアが大事

老人性鼻漏とまちがいやすい病気に、風邪や花粉症などのアレルギー性鼻炎の他、鼻風邪(急性鼻炎)をこじらせ、鼻腔につながる副鼻腔に炎症が広がる「副鼻腔炎」などがあります。

風邪や花粉症だと自己判断して市販薬を服用し、眠気のほか喉や目の乾きを訴えるケースが多く見られます。実は老人性鼻漏については医師側の認識もまだ低いため、漫然とこれらの薬を処方しているケースもあります。

特に鼻噴霧用ステロイドを長期間使用すると、鼻の粘膜の萎縮がさらに進む恐れもあります。効果が見られない場合は、使用をやめた方がよいでしょう。鼻粘膜の萎縮を止める治療薬はありません。

できることは、普段から鼻粘膜の温度を上げるような生活習慣を作り、鼻粘膜 の衰えた機能を補うことです。 具体的には、朝晩2回、生理食塩水を使った鼻洗浄で鼻粘膜 のケアをする、足湯につかる、マスクを着用するなどが有効です。お風呂で湯船につかることも、体全体を温め、蒸気で鼻粘 膜を温める効果があります。

日頃から鼻粘膜をケアすることが大切です。そのうちの一つ が「鼻洗浄」。コップや洗面器を使う方法もありますが、難かしい場合は、市販の専用注入器などで試してみましょう。

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●鼻洗浄のやり方と注意点

①生理食塩水(濃度0.9%、39℃くらい)を使用する
②片方の鼻を押さえてゆっくりと洗浄液を注入する(イラスト参照)
③上を向いて、口の方へ水を流す
④飲み込まないように、口から水を出す

注意!

※水道水を使う場合は必ず煮沸消毒する
※洗浄液が耳管に入ったり、鼻腔に水分が残った状態で鼻をかんだりすると中耳炎の原因になる
※やりすぎると、鼻の粘膜を傷つけてしまう恐れがあるので、1日2回程度にする

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構成・取材・文/古谷玲子(デコ)

 

<教えてくれた人>

松根彰志(まつね・しょうじ)先生 

日本医科大学医学部(耳鼻咽喉科学)教授 日本医科大学武蔵小杉病院耳鼻咽喉科部長
1984年鹿児島大学医学部卒業、88年同大学院博士課程修了。医学博士。米国ピッツバーグ大学留学、 鹿児島大学大学院准教授を経て、2011 年より日本医科大学武蔵小杉病院耳鼻咽 喉科部長。2015年より同大教授。

この記事は『毎日が発見』2019年9月号に掲載の情報です。

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