医者に行く前にセルフチェック!東洋医学的うつ診断

多くの現代人を悩ませる「うつ病」。世代や性別を問わず、また本人の周囲にまで問題が広がっていく、つらい心の病です。うつ治療といえば精神科に通うというイメージがありますが、治療手段はそれだけではありません。精神疾患治療に長年携わってきた心療内科医による、「漢方によって心身のバランスを調えて、うつを治す方法」について、連載形式でお届けします。

※この記事は『うつ消し漢方ー自然治癒力を高めれば、心と体は軽くなる!』(森下克也/方丈社)からの抜粋です。

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自分で診断するコツ(1)=まず、五臓を知る

うつ病を東洋医学的に理解するうえで、「五臓を知る」ことがもっとも大切になります。

ここではうつ病と五臓の関係について少しお話ししておきたいと思います。うつ病にはいくつかのタイプがあります。落ち込みばかりが目立つものもあれば、不安やイライラがおもな症状であったり、あるいは、頭痛や腹痛など、身体の症状が前面に出てくるものもあります。

このように、うつ病の症状は多彩ですが、これらがまったく無秩序に現れるということはありません。いくつかのグループをかたちづくって出現してくる傾向にあります。そしてこれが、興味深いことに、五臓である「肝・心・脾・肺・腎」の機能的な障害と結びつくのです。

うつ病のタイプは五臓に振り分けることができます。この振り分けは、専門的には、肝気鬱結、心肝火旺、肝陽上亢などの病態を考えますが、ここではわかりやすく、五臓の名前を頂戴して、「肝のうつ」「心のうつ」「脾のうつ」「肺のうつ」「腎のうつ」と名づけます。ただし、うつ病の症状と肺の機能は結びつきが強くありませんので、「肺のうつ」は除外します。実際には四つのタイプです。

それぞれがどういううつかといいますと、「肝のうつ」は気の流れが滞るタイプ、「心のうつ」は気の流れが逆上するタイプ、「脾のうつ」は気の流れそのものが足りなくなるタイプ、「腎のうつ」は気・血・水が全面的に消耗し減ってしまうタイプです。これら四つのタイプには、「憂鬱だ」「億劫だ」などの感情と意欲、思考の障害が共通の症状としてあります。

これらは、つねに固定しているというものではありません。時期によって、また状態によって、移行したり重なったりします。たとえば、時間の経過とともに「肝のうつ」から「心のうつ」へ変わることもあれば、「肝のうつ」と「脾のうつ」が同時に存在することもあります。

それに応じて、治療も「肝のうつ」の薬から「心のうつ」の薬へと変更したり、「肝のうつ」の薬と「脾のうつ」の薬を併用したりします。

うつ病は、意外にも複雑に症状が変化するのです。いまの時点でのご自身のうつがどのタイプなのか、つねに把握し、時に応じた適切な漢方薬を選択することができるようにしておくことが大切です。

では、次からチェックしてみましょう。

◆下の8つの項目に、あなたがあてはまるかどうかをチェックしてみてください。

半分以上にチェックがついた方は、うつ状態の疑いがあります。

下に進んで、
「肝のうつ」
「心のうつ」
「脾のうつ」
「腎のうつ」
を一つずつチェックしてください。

□ 憂鬱だ
□ 自信がない
□ 自己嫌悪に陥る
□ 趣味などへの興味が湧かない
□ 理由もなく悲しくなる
□ 何事も億劫だ
□ 集中力が湧かない
□ 考えがまとまらない

次は、肝・心・脾・腎のうつのうち、チェック数の多いうつがいまのあなたの状態です。

肝のうつ
□ つねに身体が緊張している
□ 気持ちが張りつめていて、リラックスした感じがない
□ 身体のあちこちに痛みや痙攣がある
□ 息苦しい
□ よく溜め息をつく
□ 頭痛や肩こりがある
□ 喉や胸が詰まった感じがする
□ 胸や脇腹がよく痛む
□ お腹が張って苦しい
□ 腹痛がする
□ 便秘や下痢になりやすい
□ 月経不順、生理痛がある(女性のみ)

心のうつ
□ イライラする
□ 怒りっぽい
□ ちょっとした物音や人の言動が気になる
□ 些細なことでも不安でしかたがない
□ 発作的に不安になり、居ても立ってもいられなくなる
□ 寝つきが悪い、眠りが浅い、すぐに目が覚める
□ 顔がのぼせる
□ 目が充血している
□ 口の中が苦い
□ 動悸がする
□ 耳鳴りや激しい頭痛、眼痛がある
□ 月経が早くなったり、不正出血がある(女性のみ)

脾のうつ
□ もともと胃腸が弱い
□ 胃のあたりが痛い
□ 胃がムカムカし、吐き気や嘔吐がある
□ げっぷやしゃっくりがよく出る
□ 食欲がないか、あってもすぐにお腹がいっぱいになる
□ お腹がよく鳴ったり、おならがよく出る
□ 便が細い、残便感、排便痛がある
□ 下痢が多い
□ 疲れやすい
□ 手足がだるい
□ 日中、よく眠くなり、横になっていることが多い
□ 気力が湧かない

腎のうつ
□ 微熱が出る
□ 身体が熱っぽく、手足がほてる
□ 肌の乾燥やかゆみがある
□ 寝汗をよくかく
□ 口の中が乾燥して水分をほしがる
□ 目がかすんだり、乾いたり、視力が落ちた感じがする
□ 身体がだるい
□ 少し動くとすぐに疲れる
□ もの覚えが悪くなった
□ 持続性の頭痛や耳鳴りがある
□ 性欲がない
□ 月経が遅れたり、なかったりする(女性のみ)

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自分で診断するチェックリストや、薬局やネット通販で入手できる製剤リストも付いているので実用的!

 

森下克也(もりした・かつや)

1952年、高知県生まれ。医学博士、もりしたククリニック院長。診療内科医として、日々全国から訪れる、うつや睡眠障害、不定愁訴の患者に対し、きめ細やかな治療で応じている。著書に『「月曜日の朝がつらい」と思ったら読む本』(中経出版)、『お酒や薬に頼らない「必ず眠れる」技術』(角川SSC新書)、『決定版「軽症うつ」を治す』(角川SSC新書)、『薬なし、自分で治すパニック障害』(角川SSC新書)、『うちの子が「親、起きられない」にはワケがある」(メディカルトリビューン)、『不調が消えるたったひとつの水飲み習慣』(宝島社)などがある。

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『うつ消し漢方ー自然治癒力を高めれば、心と体は軽くなる!』

(森下克也/方丈社)

30年以上にわたって漢方治療に携わってきた医師が、うつ病をいやしてくれる「漢方養生法」をまとめた話題の一冊。漢方治療や東洋医学の基本から、症状別事例、漢方の選び方、養生法までを分かりやすく解説しています。薬局・ネット通販で購入できる「漢方市販薬リスト」も付いています。

※この記事は書籍『うつ消し漢方ー自然治癒力を高めれば、心と体は軽くなる!』からの抜粋です。

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