「蓄膿症」と呼ばれた症状も原因!咳の原因ともなる「後鼻漏」とは

「1カ月前に風邪をひいて、咳だけ今も出る」「カラ咳が1年くらい続いている」など、ここ数年「止まらない咳」を訴えて病院を訪れる人が増えています。2週間以上続く咳の場合はさまざまな病気の可能性があるので注意が必要です。今回は咳を伴う鼻の病気「後鼻漏(こうびろう)」について、日本内科学会総合内科専門医・日本呼吸器学会専門医で、池袋大谷クリニック院長の大谷義夫先生にお聞きしました。

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鼻汁がのどに流れる「後鼻漏(副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎)」は咳の原因に

咳が出る時、のどや気管支、肺の不調を疑うことが多いですが、実は鼻の病気が原因で咳を誘発することがあります。それが、「後鼻漏(こうびろう)」です。

大谷先生によると、「後鼻漏はその名のとおり、鼻汁が鼻の奥からのどのほうに伝わっていく病気です。のどに落ちた鼻汁が痰のように喉にからんで刺激するので、これを体外に排出しようとして咳が出るのです」

大きな原因は「副鼻腔炎(ふくびくうえん)」、以前は「蓄膿症(ちくのうしょう)」とも呼ばれた病気です。鼻腔周辺にある空洞がウイルスや細菌に感染し、膿がたまるのが特徴です。また、アレルギー性鼻炎でも後鼻漏が起こります。

「副鼻腔炎」になると、咳や黄色い鼻汁が出て不快なだけでなく、以下のような症状に悩まされて快適な生活を送れなくなる場合もあります。
・鼻がつまる
・いびきをかく
・寝付けない
・虫歯ができる
・味覚が鈍くなる
・口臭が気になる
・感染症にかかりやすい

繰り返し発症しやすく、重症になると手術が必要になる場合もあるので、早めに耳鼻咽喉科を専門とする医療機関を受診しましょう。

【後鼻漏(副鼻腔炎)の主な原因】
鼻腔周辺にある空洞がウイルスや細菌に感染し、膿がたまることにより、黄色い鼻汁が出る。

【後鼻漏(副鼻腔炎)の主な症状】
・慢性的な咳
・黄色い鼻汁
・のどの違和感や不快感

【後鼻漏(副鼻腔炎)の主な治療法】
・抗生物質(クラリスロマイシン、エリスロマイシン、アジスロマイシンなど)の服用
・抗アレルギー薬の服用(アレルギー性鼻炎の場合)

「特集:長引く咳」その他の記事はこちら!

取材・文/岡田知子(BLOOM)

 

<教えてくれた人>

大谷義夫(おおたに・よしお)先生

「池袋大谷クリニック」院長。日本内科学会総合内科専門医・日本呼吸器学会専門医。群馬大学医学部を卒業後、九段坂病院内科医長、東京医科歯科大学呼吸器内科医局長、アメリカ・ミシガン大学留学などを経て、2009年に「池袋大谷クリニック」を開業。呼吸器内科のスペシャリストとしてテレビや雑誌への出演も多い。著書に『長引くセキはカゼではない』(KADOKAWA)、『止まらない咳を治す!』(扶桑社ムック) 、『長生きしたければのどを鍛えなさい』(SB新書) 。

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