胸やけがする「逆流性食道炎」は、実は「咳」にも注意が必要です

「1カ月前に風邪をひいて、咳だけ今も出る」「カラ咳が1年くらい続いている」など、ここ数年「止まらない咳」を訴えて病院を訪れる人が増えています。2週間以上続く咳の場合はさまざまな病気の可能性があるので注意が必要です。今回は「逆流性食道炎」について、日本内科学会総合内科専門医・日本呼吸器学会専門医で、池袋大谷クリニック院長の大谷義夫先生にお聞きしました。

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胃酸が気道を刺激して咳を誘発。誤嚥性肺炎などのリスクも

「咳が長引いて止まらないと訴える人の中には、『胃食道逆流症』を起こしている人も珍しくはありません」と、大谷先生は言います。

「胃食道逆流症」は、胸やけなどを起こす病気の総称で、食道の粘膜が炎症を起こしている「逆流性食道炎」と、炎症を起こしていない「非びらん性胃食道逆流症」の2つのタイプがあります。

中でも増加しているのが「逆流性食道炎」で、これは胃液が食道内に逆流して起きる病気です。 胃液に含まれる胃酸で食道が傷つき、炎症が起こることによって、粘膜が腫れて赤くなります。胸やけがしたり、酸っぱいものがのどまで込み上げてきたりする「呑酸(どんさん)」といった症状がよく知られていますが、咳もまたこの病気によくある症状。逆流した胃液が気道に刺激を与え、咳込む原因となるのです。

「『逆流性食道炎』は命に関わる重篤な病気ではありませんが、胸やけで食事を楽しめない、熟睡できない、口内炎が増える、集中力がなくなる、など生活の質を大きく低下させる症状を伴います。また、放置しておくと、胃の内容物が食道を逆流して気管に入り込み、肺で炎症を起こす『誤嚥性(ごえんせい)肺炎』になることもあります」と、大谷先生。

症状が進行すると食道に潰瘍(かいよう)ができるほか、食道の表皮粘膜に再生異常が起こり、まれに食道腺がんになることもあるので(発症率は1,000人に0.2~4人)、早めに治療することが大切です。

喫煙者は禁煙すること、また、寝る前のアルコール、チョコレート、脂肪の多い食事を避ける、左側を向いて寝る(胃の形から胃液や内容物が逆流しにくい)、食後90分は横にならないなど、生活習慣を見直すことで、胃酸の逆流を避けることができるそうです。

 

【逆流性食道炎の主な原因】
胃液が逆流することによる。胃液に含まれる胃酸が気道に刺激を与えることで咳を誘発。

【逆流性食道炎の主な症状】
・長引く咳
・吐くほどの咳込み
・胸やけ
・胸痛
・酸っぱいものがのどまで込み上げてくる(呑酸)
・げっぷ
・胃もたれ

【逆流性食道炎の主な治療法】
・胃酸分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬(タケキャブ、ネキシウム、パリエットなど)の服用 

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取材・文/岡田知子(BLOOM)

 

<教えてくれた人>

大谷義夫(おおたに・よしお)先生

「池袋大谷クリニック」院長。日本内科学会総合内科専門医・日本呼吸器学会専門医。群馬大学医学部を卒業後、九段坂病院内科医長、東京医科歯科大学呼吸器内科医局長、アメリカ・ミシガン大学留学などを経て、2009年に「池袋大谷クリニック」を開業。呼吸器内科のスペシャリストとしてテレビや雑誌への出演も多い。著書に『長引くセキはカゼではない』(KADOKAWA)、『止まらない咳を治す!』(扶桑社ムック) 、『長生きしたければのどを鍛えなさい』(SB新書) 。

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