高齢者は10人に1人!勘違いも多い「貧血」の基礎知識

猛暑が続くと体がだるく、食欲低下といったことが起こりがちです。そんな症状の原因として「貧血」が隠れているのをご存じでしょうか。そこで、東京都健康長寿医療センター血液内科部長、宮腰重三郎先生に「貧血」の基礎知識についてお聞きしました。

pixta_46181579_S.jpg「一般的に貧血というと、頭がクラクラするような脳貧血と勘違いされやすいですが、実際の貧血の症状は異なります。だるい、食欲がない、疲れやすい、さらにもともと持っている病気の症状が前面に出るのが特徴です」と宮腰重三郎先生は説明します。

脳貧血は、立ち上がったときなどに血圧が急激に下がり、脳への血流不足で頭がクラクラして、意識を失うようなことが起こります。一方、貧血は、酸素を運ぶヘモグロビンという血液の成分に関わり。だるさや食欲不振などにつながるもので、脳貧血との症状は全く異なります。

■貧血の仕組み

酸素が体の隅々に運ばれないから「貧血」になる

1908p087_1.jpg1908p087_2.jpgヘモグロビンが少ないと酸素をうまく運ぶことができません。それが貧血の原因になります

「高齢者の10人に1人は貧血と推計されますが、持病の症状が前面に出るため貧血と気づかないことが多い。貧血の中でも鉄欠乏性貧血が大半を占めます。鉄剤の服用などで症状が改善するのですが、狭心症と間違われて治療が行われるようなケースも一般的にあります。また、貧血の症状を伴う深刻な病気が隠れていることがあるため、適切な診断と治療を受けることが大切です」

■「貧血」 とは?
血液中のヘモグロビン濃度が 11g/dL未満の状態

ヘモグロビンとは血液の赤い色をした赤血球の成分の一つで、酸素を全身に運ぶ大切な役割を担っています。健康診断などで1dLあたりのヘモグロビン値が、65歳以上の人の場合で11g未満、女性の場合12g未満、男性は13g未満と低い値が出たら要注意です

■こんな症状がある人は要注意!「貧血」セルフチェック

□ 疲れやすい、体のだるさが続く
□ 脈が速くなり、胸が
□ ドキドキすることがある
□ めまい、立ちくらみが
□ 起きることが多い
□ 最近、食欲があまりない、
□ 食べ物の味がしない
□ 気分が落ち込むことが多い
□ 持病の症状が進行した気がする
□ 狭心症と診断されたことがある
□ 胃を切除した
□ 胃がん、大腸がんの疑いがある

■覚えておきたいキーワード
「脳貧血」と「貧血」は 異なるもの

低血圧で脳への血流が減少したときにクラっとめまいを起こすのが「脳貧血」です。「貧血」は、ヘモグロビンが全身に酸素をうまく届けることができず、だるさや動悸・息切れなど全身症状につながります。

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取材・文/安達純子 イラスト/堀江篤史

 

<教えてくれた人>

宮腰重三郎(みやこし・しげさぶろう)先生

東京都健康長寿医療センター血液内科部長。1959年新潟県生まれ。聖マリアンナ医科大学卒。虎の門病院血液科などを経て2006年東京都老人医療センター血液科医長、2009年より現職。高齢者の貧血に詳しく血液腫瘍の診断・治療が専門。

この記事は『毎日が発見』2019年8月号に掲載の情報です。

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