喫煙者は注意!患者数は推定530万人「COPD」基礎知識

「1カ月前に風邪をひいて、咳だけ今も出る」「カラ咳が1年くらい続いている」など、ここ数年「止まらない咳」を訴えて病院を訪れる人が増えています。2週間以上続く咳の場合はさまざまな病気の可能性があるので注意が必要です。今回は「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」について、日本内科学会総合内科専門医・日本呼吸器学会専門医で、池袋大谷クリニック院長の大谷義夫先生にお聞きしました。

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喫煙者の15~20%が発症する"タバコ病"

「咳ぜんそく」や「肺炎」のほかに、「COPD」という病気も長引く咳の原因の1つです。これは、「慢性閉塞性肺疾患」という病気で、英語名の「Chronic(慢性) Obstructive(閉塞性) Pulmonary(肺) Disease(疾患)」の頭文字をとって、「COPD」と呼ばれています。以前は、慢性気管支炎、肺気腫とも言われていましたが、現在は国際的にこの病名で統一されています。

大谷先生によると、「『COPD』は、長年、タバコの煙を主とした有害物質を吸い込むことによって気道や肺に炎症を起こす病気で、喫煙者の15~20%が発症します。受動喫煙でも発症する場合があり、"タバコ病"とも呼ばれています。初期は咳や痰が長く続いて息苦しさを感じる程度ですが、タバコの煙に含まれる化学物質や有害物質を吸い続けて進行すると、肺の中にある肺胞が溶けて破壊されます。ゆっくりと進行し、一度発症すると元の元気な肺に戻ることはありません」。

"肺の生活習慣病"とも言われる病気で中高年の喫煙者を中心に増加していますが、病院にかかっていない未治療の人が多く、40歳以上の人の8.6%、推定約530万人の患者がいるとされています。2016(平成28)年の厚生労働省の人口動態統計によると、男性の死因の第8位、死亡者数は12,649人にものぼっています。

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【COPDの主な原因】
タバコの煙のほか、微小粒子状物質PM2.5などを吸うことによる。

【COPDの主な症状】
・I期(軽症)...咳や痰がよく出る
・ll期(中等症)...運動時の息切れ、慢性的な咳や痰
・lll期(重症)...頻繁な息切れ
・lV期(最重症)...呼吸困難、日常生活の困難

【COPDの主な治療法】
・禁煙
・気管支拡張剤、ステロイド薬などの吸入
・抗コリン薬、β2刺激薬配合剤(スピオルト、ウルティブロ、アノーロ)などの服用
・運動療法を中心とした呼吸リハビリテーション(腹式呼吸の訓練ほか)
・在宅酸素療法
・外科療法(破壊された肺の一部を切除する手術)

「『COPD』は一度発症すると元には戻らない怖い病気ですが、早期に発見して治療すれば、進行を食い止めることが可能です。喫煙者の場合は、禁煙が治療の大前提となります」(大谷先生) 

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取材・文/岡田知子(BLOOM)

 

<教えてくれた人>

大谷義夫(おおたに・よしお)先生

「池袋大谷クリニック」院長。日本内科学会総合内科専門医・日本呼吸器学会専門医。群馬大学医学部を卒業後、九段坂病院内科医長、東京医科歯科大学呼吸器内科医局長、アメリカ・ミシガン大学留学などを経て、2009年に「池袋大谷クリニック」を開業。呼吸器内科のスペシャリストとしてテレビや雑誌への出演も多い。著書に『長引くセキはカゼではない』(KADOKAWA)、『止まらない咳を治す!』(扶桑社ムック) 、『長生きしたければのどを鍛えなさい』(SB新書) 。

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