食道がんのリスクも!放置厳禁「胃食道逆流症」予防&治療法

食後の胸やけやゲップ、胃もたれが多くなってきた・・・。そんな悩み、かかえていませんか?そんな「胃の不調」の原因や症状、予防や治療法について、戸田中央総合病院外科消化管部長の立花慎吾先生にお聞きしました。今回は、放置すると重症化し、食道がんのリスクも高まる「胃食道逆流症」の予防&治療法についてです。

pixta_17680105_S.jpg前の記事「年々増加傾向に?知っておきたい「胃食道逆流症」の基礎知識/胃の不調(1)」はこちら。

 
健康診断を受けた人の約1割に、胃食道逆流症が見られたとの報告があり、脂っこい食事など食の欧米化とともに年々増加傾向にあると推定されています。発症リスクが高いのは60歳以上の女性です。

「食後にすぐに横になる、ウエストのきつい衣類を着る、おなか周りに脂肪がたまっている場合などに胃食道逆流症は起こりやすくなります。胸やけなどの症状が繰り返し起こる場合には、早めに医療機関を受診するようにしましょう」と立花先生。

 

胃酸が逆流してしまう理由とは?

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加齢に伴い胃の入り口の筋肉の働きが弱まると胃酸は逆流しやすくなります。また、食べ過ぎの胃酸過多、腹部を圧迫したときなどにも胃酸は逆流するのでご用心。

 
胃食道逆流症の治療では、胃酸を逆流させないために、胃酸を抑制・中和するなどの薬によって症状を改善します。まずは治療を受けることが肝心。食道の炎症を放置してしまうと、食道の細胞が胃の細胞に変化する「バレット食道」へ移行することがあるからです。

 


■主な治療薬

・胃酸の分泌を抑える薬
プロトンポンプ阻害薬(PPI)、ヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)が代表的な薬です。

・胃酸を中和する、酸による刺激を弱める薬
スクラルファートやグリチルリチン酸ジカリウムなどの成分があり、制酸成分と合わせて市販薬にも含まれます。

・消化管運動機能改善薬、漢方薬
食道のぜん動運動を促す消化管運動機能改善薬や、制酸成分や粘膜の保護成分を組み合わせた漢方薬もあります。


 

バレット食道には有効な治療法はありません。一方、胃の入り口が食道の方へ飛び出す「食道裂孔ヘルニア」になることもあります。食道裂孔ヘルニアの症状によっては、手術が必要になります。

「食道裂孔ヘルニアは、ご高齢の患者さんに多く見られます。また、バレット食道は食道がんの発症リスクが高いといえます。胃食道逆流症の症状が軽い段階で、食生活を見直し、適切な治療を受けることが大切になります」(立花先生)

食道を守るには、胃酸の逆流を防ぐことが大切。食べてすぐ寝る、高脂肪食、みかんなど柑橘類の摂り過ぎ、過度な飲酒や喫煙などの習慣の見直しが欠かせません。ウエストを締め付けないようにする、寝るときには上半身をやや高くするなど、ちょっとした工夫も必要です。また、定期的な健診を受けて健康状態を把握し、胸やけなどの症状が続くようならば医療機関の受診を心がけましょう。

「熱い飲み物や料理、刺激物、過度な飲酒は、食道がんのリスクを高めます。生活習慣の見直しは、食道がん予防にもつながるので実践しましょう」と立花先生はアドバイスします。

 

■胃食道逆流症の予防法&治療法まとめ

・腹部を締め付ける洋服は避ける
・前屈姿勢をとらないようにする
・横になるときは左側を下にする
・就寝時は胸から頭にかけてを高くする
・喫煙、過度の飲酒はNG
・食べ過ぎない&就寝前の食事は避ける

胃酸を分泌しやすい食事や胃酸が逆流しやすい体の姿勢や状態を防ぐことがポイントになります。

 

・まずは薬を服用する
・食道裂孔ヘルニアを伴っている場合は手術を行う

胃酸の分泌を抑制する薬などで逆流を防いで食道の炎症を改善します。食道裂孔ヘルニアなど臓器異常が見られるときには手術が必要なこともあります。

 

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取材・文/安達純子 イラスト/入江めぐみ

 

<教えてくれた人>

立花慎吾(たちばな・しんご)先生

戸田中央総合病院外科消化管部長。東京医科大学病院消化器外科・小児外科派遣准教授。東京医科大学卒。米国留学、愛知県がんセンター中央病院などを経て2018年より現職。

この記事は『毎日が発見』2019年5月号に掲載の情報です。

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