脳に異常が生じることも?「腰痛を我慢するリスク」とは

腰痛などのつらい痛みを、できる限り我慢してしまう人も多いのでは? でも実は、慢性腰痛を我慢し続けると、脳に異常が生じることもあるので早めの対処が必要です。東京医科歯科大学 医学部附属病院の麻酔・蘇生・ペインクリニック科講師、倉田二郎先生に聞きました。

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痛みは目に見えず、個人差もあるため「この程度の痛みで病院に行っていいのだろうか?」とか「家族も心配するから我慢しよう」など、不安を抱えながらも痛みを我慢してしまう人が多いと思います。

私たちの研究では、原因が分からない慢性腰痛患者さんを対象に、痛みに対する脳の反応を調べたとこと、健康な人に比べて痛みを感じる脳の回路に何らかの異常が生じていることが明らかになりました。

さらに調べてみると腰痛を感じる脳の部分が過敏になっており、痛みをブロックする脳の力が弱くなっていたのです。

また、運動をつかさどる小脳と、痛みを嫌だと思う大脳辺縁系の結び付きが強いことが明らかになりました。このことにより、以前からいわれてきた「運動は慢性痛を和らげる」という考え方が正しい可能性が高くなりました。

痛みを我慢し続けると脳に異常が生じて、さらに強い痛みを感じることもあるため、早く痛みを取り除くと同時に、再発させないための習慣の改善、例えば慢性腰痛であれば、体の姿勢、運動不足、過度なストレスなどを見直すことが大切です。

痛みによって脳は影響を受けて変性しますが、逆に気持ちの持ち方や行動、生活習慣によっても脳は変わります。脳の働きと機能を健常にすれば、痛みを自ら抑える自然治癒力が増し、痛みの減少を喜ぶ力(報酬系機能)が回復して、健やかな生活を取り戻せるのです。

 

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痛みの種類

「痛み」は大きく3つに分類することができます。

【心因性疼痛】
家庭や仕事などからくるストレスで脳にトラブルが生じて感じる。首、肩、腰に多い。慢性化する「痛み」は、これが要因になることが多い。

【神経障害性疼痛】
神経が傷つく、神経の周囲に炎症が起こる、などで感じる。代表的なものは坐骨神経痛。

【侵害受容性疼痛 】
体のさまざまな部位に生じた炎症を末梢神経が感知して感じる。骨折などの外傷、関節リウマチなどが代表的。

 
取材・文/宇山恵子 イラスト/中川原 透

 

 

<教えてくれた人>

倉田二郎(くらた・じろう)先生

東京医科歯科大学 医学部附属病院 麻酔・蘇生・ ペインクリニック科講師。目に見えない痛みを脳画像などから解明し、科学的に解析することで、痛みを抱えていても医療者にうまく伝えられないでいる患者さんの治療に取り組む。

この記事は『毎日が発見』2019年4月号に掲載の情報です。

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