ストレスが多い人は要注意!「胃潰瘍」基礎知識

食後の胸やけやゲップ、胃もたれが多くなってきた・・・。そんな悩み、かかえていませんか?そんな「胃の不調」の原因や症状、予防や治療法について、戸田中央総合病院外科消化管部長の立花慎吾先生にお聞きしました。今回のテーマは、ピロリ菌やストレスが主原因となる「胃潰瘍」。症状や原因、患者数の推移などについてお聞きしました。

pixta_29797337_S.jpg前の記事「食道がんのリスクも!放置厳禁「胃食道逆流症」予防&治療法/胃の不調(2)」はこちら。

 
ストレスなどでの胃の不調は、ピロリ菌を後押し

親の介護や対人関係などで強いストレスを感じたときに「胃が痛い」ことがありますね。すぐに治まればよいのですが、食事をするたびに胃痛を感じるようなときには、胃潰瘍のリスクが高くなります。ピロリ菌が関係し、ストレスが胃痛の進行の後押しをすることがあるのです。

「胃の粘膜には、粘膜自体を胃酸から守る防衛機構が備わっています。ピロリ菌は、この防衛機構を破壊し、粘膜を傷つけ炎症を起こすのです。ストレスは胃の粘膜を保護する胃粘液の減少と同時に胃酸の分泌量を増やすため、ピロリキンの炎症を促進して胃潰瘍に結びつきやすくなります」と立花先生は説明します。

胃の粘膜を弱めるのはストレスだけではありません。腰痛などの痛みを軽減する非ステロイド性抗炎症薬にも、胃粘液を保護するプロスタグランジンという物質の機能を抑える作用があるそうです。腰痛などを抱えていると痛み止めの薬を服用する機会は増えますが、ピロリ菌を持っていると胃潰瘍のリスクを高めてしまうのです。

「ピロリ菌がいると胃酸も過剰に分泌されやすくなり、十二指腸潰瘍も発症しやすいのです」

十二指腸は、胃の出口につながる消化管で胃酸から粘膜を守る防衛機構は持っていません。胃の底の方にピロリ菌が生息していて胃酸の分泌量が増えると、食べ物が十二指腸に送られるときに胃酸も流れ、十二指腸の粘膜を傷つけてしまうのです。その状態が続くことで十二指腸潰瘍も発症しやすくなります。ピロリ菌が胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因なのです。

では、症状と原因、患者数の推移を見ていきましょう。まずは主な症状です。


■主な症状

・おなかの上の方やみぞおちの辺りに鈍い痛みを感じる
・吐き気や胸やけを感じることもある
・空腹時に痛みを感じることが多い
・進行して、潰瘍から出血すると嘔吐物や便に血が混じる


胃潰瘍では胃の粘膜保護が 不十分になるため、胃酸の刺激が痛みに結びつきます。空腹時や就寝中に胃の痛みなどを感じやすいのはそのためです。重症化すると出血も伴います。 では、次に主原因を見てみましょう。

 

■主な原因

・胃の粘膜がヘリコバクター・ピロリ菌に感染する
・食物を分解する働きを持つ胃酸や消化酵素が胃壁を傷つけてしまう
・非ステロイド性抗炎症薬の服用で起きることも

 
ピロリ菌や非ステロイド性抗炎症薬などで胃の粘膜の保護機能が低下すると、胃酸や消化酵素によって胃粘膜に炎症が起こり、炎症が続くことで胃潰瘍になります。 続いて患者数の推移です。

 

■患者数の推移

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厚生労働省の調査によると胃潰瘍は約29.2万 人、十二指腸潰瘍は約 4.4万人です(2014年 度)。ピロリ菌患者の減少、治療に有効な薬の販売などにより、発症や再発が抑えられるようになったと考えられます。

最後に予防法と治療法についてまとめました。

 

■予防法&治療法

・ピロリ菌がいる人は除菌する
・非ステロイド性抗炎症薬(解熱、鎮痛、炎症抑制)の服用には気を付ける
・喫煙、過度の飲酒はNG
・食べ過ぎない&就寝前の食事は避ける

 

ピロリ菌除菌や薬の服用、食生活で胃の粘膜保護の機能を低下させないようにするのがポイントです。さらに治療法は以下になります。

・まずは薬を服用する
・出血や穿孔などの合併症に注意する

胃の粘膜を保護して過多な胃酸を抑える作用の薬の服用が基本です。重症化して胃に穴が開いてしまうようなときには手術が必要なこともあります。

次の記事では、胃や十二指腸潰瘍や胃がんのリスクを減らす「ピロリ菌の除菌」についてご説明します。

 

次の記事「胃がんリスクを軽減!「ピロリ菌除菌」の基礎知識/胃の不調(4)」はこちら。

取材・文/安達純子

 

 

<教えてくれた人>

立花慎吾(たちばな・しんご)先生

戸田中央総合病院外科消化管部長。東京医科大学病院消化器外科・小児外科派遣准教授。東京医科大学卒。米国留学、愛知県がんセンター中央病院などを経て2018年より現職。

この記事は『毎日が発見』2019年5月号に掲載の情報です。

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