「排尿しようとすると下腹部が痛む」「トイレに行く回数が増えた」「残尿感がある」などの症状に悩まされたことのある人は少なくないのではないでしょうか? もしかしたらそれらの症状は「膀胱炎」のせいかもしれません。膀胱炎はその名のとおり、尿をためる膀胱で炎症が起きる病気です。診断もしやすく治療しやすい病気ですが、一方で人によっては繰り返すことも多い病気。そこで、膀胱炎になる原因や理由、予防法を、医療法人 東和会第一東和会病院 女性泌尿器科・ウロギネコロジーセンター長の竹山政美先生に教えていただきました。
前の記事「女性の2人に1人が感染している? 膀胱炎ってどんな病気?/膀胱炎(1)」はこちら。
回数が多い、すっきりしない。そう感じたら病気のサイン
膀胱炎は、主に大腸菌などの細菌が尿道を通り、膀胱に侵入して炎症を起こす病気です。では、膀胱炎になると、どんな症状が起こるのでしょうか?
「膀胱炎の症状は、トイレに行ったばかりなのに、またすぐに行きたくなり、トイレが近くなる"頻尿"や、おしっこをしたのに全部出し切れていないような感じがする"残尿感"、おしっこをしているときや出終わる頃に痛みを感じる排尿痛などの他、おしっこが白っぽく濁る"尿混濁"、おしっこに血尿が混じる"血尿"といったものが代表的です。そういった症状が思い当たったら、早めに泌尿器科を受診してください」(竹山先生)
膀胱炎は、誰でも発症する可能性のある病気です。また、適切な治療をせずに放っておくと、発熱や嘔吐などの症状が現われる腎盂腎炎(じんうじんえん)を引き起こしてしまうこともあります。主な症状を把握することで、早期治療を心がけましょう。
●こんな症状があったら膀胱炎かも
□トイレに行く回数が増えた
膀胱炎の代表的な症状の一つである頻尿です。通常は、膀胱に尿がたまって200~300mlくらいになると尿意を感じますが、膀胱炎にかかると、膀胱に尿が少ししかたまっておらず、もっと尿がためられる状態にもかかわらず、膀胱が過敏になって「おしっこがたまった」と感じてしまうので、何度もトイレに行くことになります。
□排尿時に痛みを感じる
膀胱の炎症のため、おしっこをした後にジーンとした痛みが起きたり、おしっこをすると差し込むような痛みや鈍痛が起こります。焼け付くようなヒリヒリとした痛みを感じる人もいます。この排尿痛も、頻尿と同じく、膀胱炎の代表的な症状です。
□尿を出し終わったはずなのに残尿感がある
膀胱炎になると、おしっこをしたのに尿が全部出きっていないような残尿感を覚えることがあります。膀胱が炎症を起こして感覚が過敏になっているため、まだ尿が残っているように感じてしまうのです。排尿してもすっきりとした感じがなく、不快な感覚が続きます。こちらも、頻尿、排尿痛と同様、膀胱炎の代表的な症状です。
□尿が濁っている
健康な状態の尿は、黄色透明をしています。ですが、膀胱炎になると、尿に白血球が混ざることで、おしっこが白く濁って見えるようになります。症状がひどい場合は、目で見て分かるほど白く濁りますが、症状が軽いうちは目で見て分かるほどではありません。
□尿に血が混じる
膀胱の炎症がひどくなると、血液の混じった尿が出て、尿が赤っぽく見えることがあります。頻尿や排尿痛とあわせて、排尿の最後に血液の混じった尿が出たり、拭き取った後のトイレットペーパーに血液がつくこともあります。ただし、血尿だけでその他の症状がない場合や脇腹の痛みを伴う場合は、腎結石や尿管結石(※)といった他の病気の可能性もあります。また、血尿は重大な病気が隠れていることもあるので、必ず泌尿器科や内科を受診してください。
※腎結石、尿管結石
結石は、ある場所によって名前が異なります。尿管に結石があれば"尿管結石"、腎臓に結石があれば腎結石と呼びます。結石が腎臓にあるうちは無症状の人が多いですが、尿管に落ちてくると突然、脇腹や下腹部、腰の後ろ側などが激しく差し込むような痛みに襲われます。
次の記事「医師が教える「膀胱炎のリスクを減らすトイレ術」/膀胱炎(3)」はこちら。
取材・文/笑(寳田真由美)