坐骨神経痛とは、腰から足にかけて延びている坐骨神経が、さまざまな原因によって圧迫されたり、刺激されたりすることであらわれる、痛みやしびれなどの症状を指します。
坐骨神経痛の原因となる病気はいくつかあり、また、症状がよく似ていても坐骨神経痛ではない場合もあります。そこで、平和病院副院長で横浜脊椎脊髄病センター長の田村睦弘先生に症状の見極め方や治療方法、痛みを改善するセルフケアのやり方などを教えていただきました。
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腰椎椎間板ヘルニアに喫煙はリスク大!
禁煙で血行を良くして痛み軽減
坐骨神経痛は、主に、お尻の辺りから太ももの裏側、足の先にかけてあらわれる鋭い痛みやしびれなどの症状の総称です。その原因はさまざまですが、症状を悪化させる要因の一つに喫煙があります。
「たばこの煙の中には200種類以上もの有害物質が含まれています。中でも、血管を収縮させる作用のあるニコチンは、坐骨神経痛に深く関わっています。腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアになると、腰椎の神経や神経根が圧迫され、その周辺の血行が悪くなりますが、ニコチンのせいでそれらがさらに悪化するのです。血行が悪くなると、血流に乗って運ばれてくる栄養や酸素が体に行き渡りにくくなるばかりでなく、疲労物質や痛み物質がうまく排出されず、筋肉の疲れが残ったり長引いたりします」(田村先生)
特に、腰椎椎間板ヘルニアは、喫煙によって椎間板の変形が進むことが分かっています。椎間板には血管がなく、必要な栄養や酸素は、周囲の毛細血管からにじみ出たものを吸収していますが、ニコチンの影響で毛細血管が収縮すると、椎間板は栄養や酸素を十分に得られなくなります。そのため、変形してしまうのです。また、椎間板はコラーゲンからできていますが、ニコチンはこのコラーゲンの生成を助けるビタミンCも破壊します。
腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアの治療を行っても、たばこのせいで神経や神経根、椎間板周辺の血行が悪いままでは、十分な効果は得られません。特に、椎間板ヘルニアの人は、積極的に禁煙を行いましょう。
禁煙は、坐骨神経痛だけでなく、さまざまな病気のリスクを減らせるメリットがあります。
●禁煙後の時間経過による変化とメリット
[1~2カ月後]
咳や痰など、慢性気管支炎の症状が改善
[1年後]
軽度・中度のCOPD患者は、肺機能が改善
[2~4年]
狭心症や心筋梗塞など、心臓の病気のリスクが、たばこを吸い続けている人に比べて、かなり低下
[10~15年]
咽頭がんのリスクが、たばこを吸い続けている人より、60%も低下
[10~19年]
肺がんのリスクが、たばこを吸い続けている人より、70%も低下
[20年]
口腔がんのリスクが、たばこを吸わない人と同じに
参考)Brunnhuber, K. et al.:Putting evidence into practice:5, 2007
上記のとおり、禁煙を長く続けることができれば、健康な体を取り戻すことができます。禁煙に遅いということはありません。今から、喫煙生活を見直してみましょう。
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取材・文/笑(寳田真由美)