気を付けて! 嗅覚障害に発展する副鼻腔炎もある/副鼻腔炎(2)

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前の記事「そもそも「副鼻腔炎」って「ちくのう症」のこと?/副鼻腔炎(1)」はこちら。

副鼻腔炎の症状が3カ月以上続くと、慢性副鼻腔炎と診断されます。細菌による二次感染で副鼻腔にたまった膿(うみ)は、粘膜にある短い毛のような繊毛(せんもう)で排出されるのですが、繊毛運動が弱り、排出する穴もふさがってしまうことで、炎症を長引かせてしまうのです。

「二次感染で副鼻腔の炎症がひどくなるのは、好中球(こうちゅうきゅう)という免疫細胞がたくさん集まることにも関係しています。これは体の防御反応なのですが、細菌と闘うことで炎症をひどくしてしまうのです」と大塚先生。

膿を出すと炎症は治りやすいのですが、鼻との隔たりなどの骨の位置が曲がっているなど、骨格によっても、膿はたまりやすくなります。薬で治らないときには、先端に内視鏡というカメラの付いた細長い医療機器による手術(内視鏡下副鼻腔手術)が必要になります。

「一般的な慢性副鼻腔炎は、薬で効果がない場合には手術をします。しかし、アレルギーに関わる好酸球性副鼻腔炎は、手術を行っても再発しやすいのです。日頃からのケアが重要になります」と大塚先生は指摘します。

慢性副鼻腔炎では好中球が集まってくると記しましたが「好酸球性副鼻腔炎」は、それとは異なります。粘膜に好酸球が山のように集まってきて、過剰な防御によるアレルギー反応を起こすのです。ぜんそくを患っている方が発症するのが特徴で、鼻のポリープ(鼻茸・はなたけ)もたくさん生じます。つまり、症状が重くなりやすいのです。

副鼻腔や鼻の粘膜が腫れることで、鼻が詰まった感じがしなくても、「料理のにおいがしない」といった嗅覚障害も伴うようになります。30~40代からぜんそくを患っている人は、風邪をきっかけに好酸球性副鼻腔炎になりやすいので気を付けましょう。

「好酸球性副鼻腔炎は、ぜんそくの症状を悪化させやすいので適切な治療が欠かせません。鼻のポリープなどを切除する内視鏡下副鼻腔手術を行うと、ぜんそくも軽くなる傾向があります。また、再発すると嗅覚障害がひどくなるので、再発を防ぐ薬による治療も重要になります。こまめなケアが大切です」

 

薬剤性鼻炎とは?

鼻詰まりのときに、市販の点鼻薬で症状が楽になることがありますね。鼻の腫れた粘膜の血管を縮めて炎症を抑える作用があるからです。でも、自己判断で点鼻薬を長期間使い続けていると、血管が縮まらなくなってしまうこともあるのです。鼻の粘膜の腫れがひどくなり、鼻詰まりも強い症状として現れます。これを薬剤性鼻炎といいます。自己判断の薬の使用は逆効果になることもあるのです。 鼻の症状に悩むときは、かかりつけ医に相談を。点鼻薬は適正に使用することが大切です。

 

好酸球性副鼻腔炎とは?

鼻の粘膜にたくさんのポリープ(鼻茸)が生じる病気です。慢性副鼻腔炎でも、副鼻腔に膿がたまって鼻のポリープが生じるのですが、好酸球性副鼻腔炎ではその仕組みが異なります。手術しても再発しやすく、指定難病とされています。国内の推計患者数は約2万人です。

 

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鼻の穴の中のことを「鼻腔」といいますが、この鼻腔の周りに骨で囲まれた空洞が左右4個ずつ、合計8個あり、鼻腔とつながっています。この空洞部分が「副鼻腔」で、頬の辺りに上顎洞(じょうがくどう)、両目の間に篩骨洞(しこつどう)、その奥に蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)、額の辺りに前頭洞(ぜんとうどう)があります。

 

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取材・文/安達純子 イラスト/堀江篤史

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<教えてくれた人>
大塚康司おおつか・こうじ)先生
東京医科大学病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科准教授、外来医長。日本耳鼻咽喉科学会認定専門医・指導医。副鼻腔炎やアレルギーの病気、めまいなどの診断・治療を行い、顔の表面に傷が残らない内視鏡下副鼻腔手術を得意として数多く実施。
 
この記事は『毎日が発見』2018年1月号に掲載の情報です。

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