坐骨神経痛とは、座骨神経に沿ってお尻から脚にかけて起こる痛みのこと。痛みの出る部位や症状によって、原因となる病気は異なります。そのため、「坐骨神経痛かも?」と思ったら、なるべく早めに痛みの原因を知って、適切な対策をとることが重要です。
平和病院副院長・横浜脊椎脊髄病センター長の田村睦弘先生に、坐骨神経痛の原因や正しい対処法、予防法などを教えていただきました。
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加齢によって起こる狭窄症。症状を見逃さず早期治療を
坐骨神経痛の原因として最も多いものの一つが腰部脊柱管狭窄症です。脊椎の脊柱管が狭くなることで坐骨神経痛が現れます。
「原因のほとんどは加齢です。初期から見られる症状は〝腰を反らせると痛みが増す〟〝長時間立っているのがつらい〟の二つ。進行すると、少し歩くと下肢の痛みやしびれが強くなり、少し休むとまた歩けるようになる間欠跛行(かんけつはこう)などが起こります。徐々に症状が悪化するため、いきなり間欠跛行が現れることはまずありません。それだけに、間欠跛行が見られたら、かなり病状が進んでいると考えられます」(田村先生)
◆腰部脊柱管狭窄症はどうして起きるの?
腰部脊柱管狭窄症とは、名前の通り、脊柱管(背骨の中を通る脊髄からの神経の通り道)が狭くなる病気。多くの場合、加齢が原因で起こり、50歳以上の人に多く見られます。
年を取ると、椎骨(ついこつ・脊柱を構成する個々の骨)に棘のような突起ができて脊髄を圧迫したり、靭帯が分厚くなったり、椎間板が薄くなったりするため、脊柱管が変形し、
脊柱管の内腔(内側の空洞部分)が狭くなります。そのため、内腔に収まっている馬尾や神経根が圧迫され、坐骨神経痛が現れます。
◆腰部脊柱管狭窄症の症状は?
・腰を後ろに反らすと痛みが増す
・長時間立っているのがつらい
・スリッパが脱げやすい
・階段でつまずきやすい
・数分歩くと下肢の痛みやしびれが強くなり歩けなくなるが、少し休むとまた歩けるようになる
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取材・文/笑(寳田真由美) イラスト/中川原 透