坐骨神経痛とは、腰から足にかけて延びている坐骨神経が、さまざまな原因によって圧迫されたり、刺激されたりすることであらわれる、痛みやしびれなどの症状を指します。
坐骨神経痛の原因となる病気はいくつかあり、また、症状がよく似ていても坐骨神経痛ではない場合もあります。そこで、平和病院副院長で横浜脊椎脊髄病センター長の田村睦弘先生に症状の見極め方や治療方法、痛みを改善するセルフケアのやり方などを教えていただきました。
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お尻や下肢の激しい痛み。長く続くしびれは受診を
坐骨神経痛は命にかかわるものではありませんが、慢性的に続くと生活の質を著しく低下させます。
「坐骨神経痛の多くは腰痛から始まり、次第にお尻や太ももの後ろ側、太ももの外側、かかとや足の裏へと、痛みやしびれ、運動マヒや感覚マヒが広がっていきます。 "年のせいだから"とか"何とかしのげるから"と我慢を続けているうちに、痛みやしびれが強くなって外出がおっくうになったり、安静にしていても痛みやしびれが出るようになって不眠につながったりすることもあります。さらに症状が進むと、残尿感や頻尿、失禁などの排尿障害や、便秘などが起こることもあります」(田村先生)
坐骨神経痛の症状が慢性的にあり、日常生活に支障が生じたり、痛み止めが手放せないといった状態が続いたりしたら、受診が必要です。
●坐骨神経痛が疑われる症状とは?
・安静にしているときや、歩いたときに痛みやしびれがある
・お尻や下肢に激痛がある
・お尻や下肢に痛みやしびれがあり、歩くことが難しい
・肛門や外陰部がしびれる
・残尿感や排泄遅延(尿が出るまでに時間がかかる)、頻尿、失禁などの排尿障害がある
・便秘がひどい
・性機能障害(勃起不全、あるいは性的に興奮しないのに勃起するなど)がある
・間欠跛行(少し歩くと足の痛みが増して歩けなくなり、休むと歩けるようになるのを繰り返す)
これらの症状に思い当たったら、早めに整形外科で相談しましょう。
「肥満の人や喫煙習慣のある人、やせ過ぎの人、激しいスポーツをする人などは、坐骨神経痛を起こすリスクが高めです。また最近は、遺伝的に坐骨神経痛になりやすい人がいることも分かってきました。椎間板の強弱には個人差があり、もともと神経の通り道が太い人、狭い人、さまざまです。それだけに、どんな人でも坐骨神経痛を起こすことがあります。筋肉痛や炎症などで起こる腰痛と異なり、坐骨神経痛には必ず原因となる病気があります。"そのうち治るだろう"と放置すると、悪化する可能性も否めません。坐骨神経痛の大半は、温熱療法や運動療法、マッサージなどの物理療法、コルセットなどの装具療法の他、薬物療法やブロック療法といった保存療法で改善します。まずは、病院で相談してみましょう」(田村先生)
坐骨神経痛の診療は、整形外科で行っています。また、背骨の病気を専門的に診療する脊椎外来のある病院も増えています。かかりつけの医師がいる場合は、かかりつけ医に相談してから専門の病院を紹介してもらうのがおすすめです。
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取材・文/笑(寳田真由美)