効き目にも差があるの? 安価なジェネリック薬と普通の薬の違い

「病院に行くべきかどうか...」悩むレベルの"困った症状"、いろいろありますよね。
今回寄せられたのは、ジェネリック薬を処方された70代女性のお悩み。医療法人社団同友会理事長 高谷典秀先生がお答えします。

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ジェネリック薬と普通の薬の違いを教えてください

70歳の女性です。ジェネリックという薬について教えてください。

私は数年前の健康診断で高血圧だと言われ、血圧を下げる薬を飲んでいます。
先日、いつも通っている病院で血圧を測り、薬の処方箋を出してもらったのですが、いつもの薬よりも値段が安い、ジェネリックという薬を購入してしまいました。

後から友人に聞いたところ、ジェネリックは人によっては効き目が変わることもあると話していました。

そもそも、ジェネリック薬とはどのような物なのでしょうか。お医者様の立場から、きちんと効くものなのか、教えてください。

 

特許切れの「後発薬」で成分・効き目は同じ

今回はジェネリック医薬品についてのご質問です。ジェネリック医薬品は、テレビコマーシャルなどで馴染みもあり、すでに名前も浸透してきているかと思いますが、改めてご説明させていただきます。

新しく開発された薬というものは、その成分、製法などが特許によって守られていますが、特許の期限が過ぎると、開発したメーカー以外でも、同じ成分の薬を作って販売することができるようになります。このように、特許が切れた後に、他のメーカーが製造した薬を「ジェネリック医薬品」、あるいは日本語で「後発医薬品」と総称します。

基本的には、ジェネリックの方が値段が安いため、最近は医療費削減の目的のためにも、ジェネリックを使うことが推奨されてきております。それでも欧米での利用率が60~70%程なのに対し、日本での利用率はまだ20%程度のようです。

一番心配なのは、ご質問にもあるように、本来の薬と同じように効くのかという部分だと思います。薬の成分としては、本来の薬と同じものです。値段が安いからといって主成分の量や種類が変わってくるような事はありません。ただ、主成分を錠剤などにして、実際に服用する際には、その錠剤がどのように胃で溶け、吸収されていくか、その過程というのは、錠剤のコーティング技術や、添加物の加え方などで上手く調整をされています。その部分で、本来の薬とジェネリックとでは異なる場合もあるのです。

そのため、以前は薬の溶け方、吸収のされ方に違いが生じ、血中濃度の上昇の仕方も違うと言われたことがありますが、近年ではそういう部分も改善されてきていますので、基本的には同じ効き目が得られると考えて良いと思います。

しかし、長年飲み続けている薬には愛着もあるかと思います。薬の名前や、形が変わってしまうだけで、それを不安に思う人もいらっしゃるようです。たとえば精神的な部分に作用する薬の場合では、その薬が変わると思うだけで、不安が増したりすることも考えられます。もちろんそういう場合は、無理に変える必要はございません。

もし、主治医の先生が総合的に判断をして、ジェネリックに変えない方が良いと判断した場合には、そのように処方箋へ署名をする欄がございます。そこに署名があると、薬局でもジェネリックに変えることができなくなります。

そのような特別な場合を除き、基本的にはジェネリックを活用することがすすめられてきておりますので、迷っている方は、一度主治医に相談をされてみてはいかがでしょうか。(老友新聞社)

 

※そのほかの「高谷典秀先生「なんでも健康相談」」はこちら。

 

 

<教えてくれた人>
高谷典秀(たかや・のりひで)先生

医療法人社団同友会 理事長。順天堂大学循環器内科非常勤講師。日本人間ドック健診協会 理事。学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授。著書に『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』(株式会社法研)など。

この記事は『日本老友新聞』に掲載の情報です。

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