食事、薬、アリやダニ...日常に潜む「アナフィラキシーショック」の危険/やさしい家庭の医学

pixta_8687406_S.jpg病気やけがをしたとき、それに関する用語(病名・症状など)の意味をそもそも知らなかった、なんてことはありませんか? また、時代の流れとともに「ADHD」「ノロウィルス」など新しい用語もどんどん現れています。

書籍『やさしい家庭の医学 早わかり事典』で、病気や健康分野の正しい知識を身につけ、いざというときに役立てましょう。

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免疫反応によって現れる全身性の反応
「アナフィラキシー」

●すみやかにアドレナリンの注射を

アナフィラキシー」とは、免疫反応によって現れる全身性の反応のことです。主に、アレルゲンとなる食べ物を食べたり、吸い込んだりした場合に、極めて短期間のうちにアレルギー症状が出ます。
 
皮膚や粘膜(ねんまく)、消化器、循環器、呼吸器など、全身的に症状が現れると、血圧の低下や意識障害を引き起こすことになり、極めて危険な状態に陥(おちい)ることも少なくありません。この場合をとくに「アナフィラキシーショック」と呼んでいます。
 
人の体は本来、ウイルスや異物が入ってきたときには体内に抗体がつくられ、免疫という仕組みによってそれらの異物に対抗しようとします。ところが、この免疫の仕組みが、私たちの体に害を与えない物質に対しても有害だと過剰に反応し、マイナスの症状を引き起こしてしまうのがアレルギー反応と呼ばれるものです。
 
アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)には、食べ物(牛乳、鶏卵、そば、小麦など)のほか、薬物(ペニシリン、アスピリンなど)、ラテックス(天然ゴム)、蜂毒(スズメバチ、アシナガバチなど)などがあります。
 
蜂に刺されることによって起こるアナフィラキシーはよく知られるところですが、日本では年間で20人ほどが毎年亡くなっているというデータもあります。
 
そのほか、ダニやアリなどによる咬傷(こうしょう...咬かまれたときにできる傷)によるものや、クラゲの毒などによるケースも報告されています。日常のあちこちに原因は潜(ひ)そんでいます。 アナフィラキシーの症状には、じんましんをはじめとする皮膚の症状のほか、せきや息苦しさといった呼吸器の症状、血圧の低下などの循環器の症状などが挙げられます。
 
皮膚の症状には抗ヒスタミン薬、呼吸器の症状には気管支拡張薬など、症状別に薬剤が投与されますが、ショック状態の場合はアドレナリンの注射が欠かせませんので、医師の診察を仰ぐようにしましょう。
 
食べ物によるアナフィラキシーと思われる場合は、口の中に残っている物を取り除き、仰向けに寝かせて足を高くして安静にさせます。嘔吐(おうと)が見られる場合は、吐瀉物(としゃぶつ)を詰まらせないように体を横向きにさせましょう。

 

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中原 英臣(なかはら・ひでおみ)

1945年、東京生まれ。医学博士。ニューヨーク科学アカデミー会員。東京慈恵会医科大学卒業。77 年から2 年間、アメリカ(セントルイス)のワシントン大学にてバイオ研究に取り組む。その後、山梨医科大学助教授、山野美容芸術短期大学教授を経て、現在、新渡戸文化短期大学学長、早稲田大学講師。おもな著書に『ウイルス感染から身を守る方法』(河出書房新社)、『こんな健康法はおやめなさい』(PHP 研究所)、『テレビじゃ言えない健康話のウソ』(文藝春秋)などがある。

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『やさしい家庭の医学 早わかり事典』
(中原英臣[監修]/KADOKAWA)


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この記事は書籍 『やさしい家庭の医学 早わかり事典』からの抜粋です
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