今年5月、政府は、ジェネリック医薬品の普及割合を80%に引き上げる目標時期を、2020年度末までのなるべく早い時期から、2020年9月末へと早める方針を固めました。ジェネリック医薬品は、特許が切れた新薬(先発医薬品)と同じ成分で、価格は4~5割程度。普及を早めることで薬剤費の抑制が期待されます。
しかし、価格の安さや既存の薬(先発医薬品)と異なる点があるなど、安全性や効果に疑問が多いのも事実。そこで、日本ジェネリック製薬協会 総務委員会広報部会 コミュニケーション広報戦略グループのみなさんにお話をお伺いしました。
医師の処方せんが必要な薬には、新薬(先発医薬品=以下、新薬)と、それよりも安いジェネリック医薬品があります。ジェネリック医薬品は、新薬の特許期間終了後、別の会社が同じ有効成分を使って製造・販売するもの。新薬をつくるには、20年前後の年月と数百億円以上の研究開発費がかかります。一方、ジェネリック医薬品の場合、開発期間は3~5年、費用は1億円程度が一般的。開発にかかる費用や時間が少ない分、薬価を抑えることができるのです。品質や効き目、安全性は、国が定める基準により、新薬と同等と認められてから発売されます。
ジェネリック医薬品の中には、新薬と色や形状などが異なるものがあります。これらは、製造技術の進歩によるもの。味やにおいを改良したり、大きい錠剤を小さくしたりと、より飲みやすい仕様へと工夫されています。また、新薬とは異なる添加剤を使う場合もありますが、日本では、前例があり、安全性が確認されているものが使用されています。添加剤が違っても効き目や安全性に影響はありません。ただし、アレルギーがある方は、新薬、ジェネリック医薬品を問わず、事前に医師や薬剤師に相談しましょう。
【新薬(先発医薬品)とジェネリック医薬品は何が違うの?】
●同じでなければいけないところ
・有効成分の種類と量
・用法、用量
・効能、効果
●変えてもよいところ
・薬の形状、色、味、添加剤など
日本の国民医療費は年間約1兆円も増加しており、国民皆保険制度維持のための負担は増える一方です。ジェネリック医薬品は安価ですが、新薬と同等の治療効果が得られるもの。普及が進めば、自己負担の軽減のみならず、国全体の医療費抑制につながります。使用は医師や薬剤師に「ジェネリック医薬品を希望」と伝えるだけと簡単です。行政機関や各健保協会などが配布する「ジェネリック医薬品希望カード」や「希望シール」を活用するのもよいでしょう。
<教えてくれたのは>
日本ジェネリック製薬協会
http://www.jga.gr.jp/
※先発医薬品とジェネリック医薬品の薬代の差額は、日本ジェネリック製薬協会
の「かんたん差額計算」で調べられます。スマートフォンからは、http://mobile.jga.gr.jp/へ.