「病院に行くべきかどうか...」悩むレベルの"困った症状"、いろいろありますよね。
今回寄せられたのは、膝の痛みに悩む60代男性のお悩み。医療法人社団同友会理事長 高谷典秀先生がお答えします。
Q
痛風で膝が痛むことはあるのでしょうか?
65歳の男性です。膝の痛みに悩んでおり、お手紙いたしました。
少し前から膝の関節が痛くなりはじめたのですが、医者には行かず、そのままにしておいたところ、だんだん痛みが強くなってきました。まず正座ができなくなり、階段の上り下りも苦労し、最近ではあぐらをかくのも辛くなってしまいました。
思い返すと、以前、健康診断を受けた際に「尿酸値が高め」と指摘されたことがありました。尿酸値が高い人は痛風になりやすいという話も聞いたことがあり、心配です。この膝の痛みは痛風によるものなのでしょうか。
A
加齢で膝関節がすり減る整形外科的疾患の可能性も
今回は膝の痛みと、健康診断で尿酸値が高いと指摘された事から、痛風を心配している方からのお便りです。
たしかに痛風というものは、尿酸が高い方に出やすい関節痛です。尿酸値の正常の値は7くらいまでですが、痛風発作が起きやすくなるのは9前後くらいからです。しかしご存知の方も多いかもしれませんが、通常、痛風による関節の痛みというものは、足の親指の付け根に現れます。患部は赤く腫れ、しかもその痛みはかなり強くて「風が吹いても痛む」ということでこの病名がついたほどです。このような症状から、典型的な場合にはすぐに痛風だという事がわかります。
また、痛風の痛みというものは、長い期間をかけて少しずつ痛みが増していくというよりは、「痛風発作」と言われるように、時にはほんの一日程度の間に、急激に痛みが酷くなるものなのです。
このような症状から比較しますと、あなたの場合は痛風である可能性は低く、むしろ変形性膝関節症のような他の整形外科的疾患である可能性が高いと思われます。変形性膝関節症では、加齢に伴い膝の関節がすり減って変形し、痛みが発生します。対策としては、足の筋力をつけるとか、あるいはもしメタボ体型であるならば、減量して膝への負担を減らすことが重要になります。
痛風でも膝に痛みが出るという場合もごくまれにありますが、その場合には薬での治療が中心となります。痛みの発作がある場合には、まずは痛みと炎症を抑える薬を飲み、その後痛みが落ち着いたら、尿酸値を下げる薬を定期的に飲むようにし、痛風発作の再発を防ぎます。
尿酸値が高いまま放置しますと、痛風だけではなく、腎臓を悪くしたり、尿路結石の原因になりますので、たとえ痛みが出なくとも治療が必要になります。治療の目安としては、腎機能が悪い・尿路結石・高血圧・高脂血症・狭心症・糖尿病などがある人の場合には、尿酸値8以上、そのような病気が無い人でも尿酸値9以上ですと治療対象になりますので参考にしてください。(老友新聞社)