「病院に行くべきかどうか...」悩むレベルの"困った症状"、いろいろありますよね。
今回寄せられたのは、木の粉塵で肺がんになることがあるのか心配という70代男性のお悩み。医療法人社団同友会理事長 高谷典秀先生がお答えします。
Q
木の粉塵吸い込み咳と熱が出た
72歳の男性です。先日、肺が痛み出したと思ったら、呼吸もゼイゼイし、咳も出るようになりました。1週間くらい咳が続くと、38度の熱が出て、3日ほど寝込んでしまいました。
その後、熱は下がったのですが、肺の痛みと咳が今も続いています。
原因を考えると、症状が出る前に、日曜大工で木材を削る作業をしました。マスクをせずに、木の粉塵を吸い込んでしまい、咳き込みながら作業をしたことを思い出しました。
以前、石綿を使った作業で肺がんになると報道されましたが、木の粉塵で、肺がんになることはあるのでしょうか。それとも、ただの風邪なのでしょうか。
A
肺が炎症を起こす 長引くならCT検査を
木材を削った際の粉塵を吸い込み、それが原因で肺がんになるのではと心配されてのご質問です。
粉塵を吸い込み続けるような作業を、長年に渡ってされているならば話は別ですが、今回のご質問のように、一回吸っただけで肺がんになるということは、まずありえませんのでご安心ください。
しかし、症状として、熱が出たり、さらに咳や肺の痛みが続いているということですので、ただの風邪が長引いているということも考えられますが、それ以外の肺の病気も考える必要があります。
特殊な病気として、過敏性肺炎というものがあります。粉塵や有害物質を吸い込んだ際に、肺が炎症を起こしてしまう病気で、原因となる有害物質は3百以上もの種類があります。たとえば、鳥を飼育している人が、鳥の糞や羽に含まれる有害物質を吸い込むことにより、アレルギー反応を起こして発症する「鳥飼病」。また、農作業をされる人が、カビの生えた干し草の中にいる細菌を吸い込んで発症する「農夫肺」などがあります。
長年に渡り有害物質を吸い込み続け、慢性的に症状が現れる場合や、あなたのように、発熱や呼吸困難などが急性的に発症する場合もあります。
もし、今後も同様の作業をされる場合には、必ず防塵マスクをつけて作業をするようにしてください。また、咳や肺の痛みがとれずに長引くようであれば、一度、胸のレントゲンや、肺のCT検査をお受けになった方が良いでしょう。(老友新聞社)