誰でも一度は経験する身近な首の痛み「寝違え」。対処法は?/首の痛み

首は、約5㎏という人間の頭を支える関節の中でも重要な部位。そんな重い頭を支える首には、大きな負担がかかり、筋肉の疲労やストレスなどによって痛みが生じやすくなります。また、関節からの痛み、骨と骨の間にあるクッションの役割である椎間板からくる痛みのほか、内臓などの深刻な病気が隠れている場合もあるので、手足にしびれがある、眠れないほどの激痛がある、痛みが長引く、高熱を伴うといったときは、要注意です。

さまざまな首の痛みの症状やメカニズム、原因と治療、首の痛みに効果的な運動の方法などを、自治医科大学整形外科教授の竹下克志先生にお聞きしました。

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寝違えが発症してすぐは無理に動かさず、安静に

朝起きたときに、首の後ろ側や首から肩にかけて痛みを感じることがあります。これを「寝違え」といい、首をある方向に動かすと痛みが生じたり、激痛で首が動かせなくなったりします。ぎっくり腰と同じくらい身近ですが、痛みの原因を特定するのが難しい分野です。ただし、ぎっくり腰は重大な病気が潜んでいる場合がありますが、「寝違え」の場合は、重大な病気との関連性はほとんどありません。

「実は寝違えは医学的に研究が進んでおらず、痛みの原因はまだ証明ができていませんが、発症後すぐの痛みがひどいときにあれこれやるのはおすすめしません。痛い方向に動かしたり、痛みをがまんしてストレッチをしたりするのは逆効果になる場合もあるので、自然に痛みが消えるまで、首や肩を安静にすることが大切です。数日で首を動かせるようになります」(竹下先生)。

一般的に、検査や画像でとらえられるような変化はありませんが、睡眠中に頭を不自然な位置に曲げていたなどの姿勢が続いたために、一部の首の筋肉が緊張して起こる、急性の筋肉痛と考えられます。

また「寝違え」のような急性の筋肉痛は、寝ているときだけでなく、日中にも起こります。ふと振り向いたとき、上を向こうと頭を上げたとき、下を向いて力を入れて物を持ち上げようとしたときなど、ギクッと首が痛むことがあります。

痛みが消えない場合は、タイレノール、ロキソニンなど非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やアセトアミノフェンなど市販の鎮痛剤も効果があります。またロキソニン湿布薬も市販で手に入ります。患部を温めるのも効果的です。

また、痛みが激しく、2~3日以上続く場合は、整形外科を受診しましょう。多くは消炎鎮痛薬の内服や湿布で改善します。それでも改善が見られなければ、トリガーポイントに局所麻酔剤を注射する場合もあります。トリガーポイントとは触るとゴリゴリする、筋肉内のしこりのような部分で、とくに痛みを強く感じる点です。原因を取り除くものではありませんが、痛みを取り除く効果が期待できます。

繰り返し起こる場合や手足のしびれが伴う場合は、頚椎症や頚椎椎間板(けいついついかんばん)ヘルニアなどの病気がないか、整形外科を受診して、検査してもらう必要があります。

「『寝違い』には、枕の高さも大いに関係しています。枕を変えただけで痛みが減ることもあります。8~9割の人は、低い枕の方が楽と言っていますが、人に寄って合う合わないは違うので、自分の感覚で合う枕を試してみることが大切です」(竹下先生)。

タオル1枚から高さを細かく調整してみて、朝起きたときに痛くないかどうか確認しながら、自分の首に最適な枕を探しましょう。

 

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取材・文/古谷玲子(デコ)

 

竹下克志(たけした・かつし)先生

医師。自治医科大学整形外科教授。1987年東京大学医学部卒業、東京大学整形外科医局長、同大学医学部整形外科准教授などを経て、現職。脊椎(せきつい)外科(とくに側弯症)、痛み、バイオメカ、アウトカムを専門とする。著書に『そうだったのか!腰痛診療: エキスパートの診かた・考えかた・治しかた』(共著、南江堂)

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