見逃さないで! 首の痛みに隠れた重大な病気のサイン/首の痛み

首は、約5㎏という人間の頭を支える関節の中でも重要な部位。そんな重い頭を支える首には、大きな負担がかかり、筋肉の疲労やストレスなどによって痛みが生じやすくなります。また、関節からの痛み、骨と骨の間にあるクッションの役割である椎間板からくる痛みのほか、内臓などの深刻な病気が隠れている場合もあるので、手足にしびれがある、眠れないほどの激痛がある、痛みが長引く、高熱を伴うといったときは、要注意です。

さまざまな首の痛みの症状やメカニズム、原因と治療、首の痛みに効果的な運動の方法などを、自治医科大学整形外科教授の竹下克志先生にお聞きしました。

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命に関わる恐れもある首の痛みの症状とは?

安静にしていても首に強い痛みがある、何日経っても改善せず逆に痛みが強くなるなどの場合は、がん転移や感染症の恐れがあります。

「乳房や肺のがんが首の骨に転移すると、頭の重みに耐えられず、骨が折れることもあります。『痛くて眠れない』『痛くて起き上がれない』ほどの激痛の場合は要注意です。さらに神経の周りにがんが転移した場合は、首のほか、手指や腕、時には足までしびれることがあります。進行すると、麻痺のために手や脚が思い通りに動かなくなることもあります」(竹下先生)

転移ではなく、最初から脊髄に腫瘍ができる「脊髄腫瘍」の場合も、脊髄が圧迫され、最初は首の痛みから、次に手と足にしびれが出るといった同じような症状が現れます。

また、背骨に黄色ブドウ球菌、結核菌、緑膿菌などの細菌が感染した場合は、がんの転移と同じような症状に加えて、40℃近い高熱が出ることが特徴です。喉などの傷や、体のどこかで感染した細菌が血流とともに頚椎へ運ばれて感染し繁殖することで起こります。

黄色ブドウ球菌は広く自然界に分布しており、人体でも皮膚や髪の毛、鼻の中など人にすみついている菌で健康な人は感染しにくいのですが、加齢や疲労などで免疫の働きが低下している場合は、感染しやすくなります。また、糖尿病や抗がん剤を使用している人、関節リウマチなど免疫抑制剤を使っている人も感染しやすいので、注意が必要です。

「感染症は早期に抗菌薬で対処すれば治りますが、治療が遅れると骨の破壊や神経の損傷などで後遺症の恐れもあります。首の痛みのほかに発熱があったら、速やかに医療機関を受診しましょう」(竹下先生)

首の痛みは頭痛との関連性も高いと考えられています。

「とくにレントゲンで何も異常がなければ、高血圧による頭痛を疑います」(竹下先生)。

高血圧での頭痛の場合、首の後ろや後頭部に痛みが起こります。首の後ろから後頭部の痛みの症状がみられる頭の病気では、脳梗塞や脳出血のような血管の病気のほか、脳腫瘍も考えられます。首の痛みや左肩のひどい痛みの場合は、心筋梗塞を疑います。胸部の腫瘍や、肺の上部の腫瘍でも首の痛みが腕や肩の痛みとともに現れることがあります。

「とくに動作に関係なく痛い場合や眠れなくなるほどの痛みの場合は、深刻な病気が隠れていることもあるので、早めに医療機関を受診しましょう」(竹下先生)
「首の痛み」といっても、整形外科的な病気ではない場合もあるので、首の痛みの程度や経過のほか、首の痛み以外の生活習慣、病歴など詳しい情報を医師に伝えると他の病気を疑うきっかけになります。

 

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取材・文/古谷玲子(デコ)

 

竹下克志(たけした・かつし)先生

医師。自治医科大学整形外科教授。1987年東京大学医学部卒業、東京大学整形外科医局長、同大学医学部整形外科准教授などを経て、現職。脊椎(せきつい)外科(とくに側弯症)、痛み、バイオメカ、アウトカムを専門とする。著書に『そうだったのか!腰痛診療: エキスパートの診かた・考えかた・治しかた』(共著、南江堂)

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