タンパク質、カルシウム...骨を健康にする栄養素/圧迫骨折

pixta_34870737_S.jpg背骨は、首から腰まで24個の骨がつながってできていて、それぞれの骨の積み重なっている円筒形の部分を「椎体(ついたい)」といいます。圧迫骨折とは、この椎体が潰れてしまう骨折です。高齢の女性に多く、尻もちをつく、重い物を持つなどの大きな負荷、そして骨粗鬆症が主な原因です。背骨は体を支え、脊髄を保護する重要な役割を果たしています。この背骨が潰れてしまうと、強い痛みや日常生活への支障が出るほか、身長が縮んだり、背中が丸まったりして、見た目の老化にもつながります。

今回は圧迫骨折の症状や治療法、圧迫骨折の原因となる骨粗鬆症について、伊奈病院整形外科部長の石橋英明先生にお話を伺いました。

 

前の記事「病院での骨粗鬆症検査は、エックス線と骨密度測定が基本/圧迫骨折(10)」はこちら。

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健康な骨を作り、維持する栄養成分で骨質を強化

「骨の主成分は、主にタンパク質とカルシウムです。ですから、それらを食事で十分に摂ることは骨の健康に欠かせません。加えて、骨の材料となるビタミンDとビタミンKを摂取することも大切です。バランスのよい食事を心がけることが、丈夫な骨づくりの基本です」と、石橋先生。

骨の半分はタンパク質でできていることは、先にお話ししました。人のタンパク質は、20種類のアミノ酸がつながってできています。そのうち、11種類は人の体の中で合成できますが、残りは食品からの栄養で摂る必要があり、必須アミノ酸と呼ばれます。必須アミノ酸が多いのは、肉、魚、牛乳、卵といった動物性食品と大豆製品です。

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「1日に必要なタンパク質の量は、男性で60g、女性で50gです。特に高齢の方は十分な量のタンパク質が必要です。三食のうち二食は、肉か魚を主菜にした食事を摂ってください」
(石橋先生)。

骨のもう一つの主成分であるカルシウムは、骨や歯を作るだけでなく、神経伝達をコントロールしたり、筋肉の収縮や血液凝固作用を促したりと、多くの働きを担っています。ですが、日本人が必要量を摂れていない数少ない栄養素でもあります。骨の維持、強化のために必要なカルシウムは、1日に800mg。日本人のカルシウムの平均摂取量は1日500mgなので、あと300mgを意識的に追加すればよいことになります。牛乳や乳製品などを上手にプラスして、十分な量を摂りましょう。


●カルシウムを多く含む食品の一例

食品名     1食の目安量 /カルシウム量
牛乳      200ml220mg
ヨーグルト   100g120mg
さば水煮缶   80g208mg
木綿豆腐    100g120mg
モロヘイヤ   60g156mg

ビタミンDは、小腸からのカルシウムの吸収を促してくれる大変重要な栄養素です。食品にも含まれますが、紫外線を浴びることで、皮膚で合成されます。

「春と秋は1日15分ほど、夏は1日7分程度、顔と手に日光を浴びるようにしましょう。ただし、冬場の日光では何時間も当たる必要があるので、ビタミンDの多い食品を意識的に摂った方がよいでしょう。紅鮭やさんまなど、魚介類がおすすめです。めざしなどを丸ごと食べると、ビタミンDだけでなくカルシウムも一緒に摂れて効率的です」(石橋先生)。

カルシウムが骨に沈着するのを促し、丈夫な骨を維持するために欠かせないのがビタミンKです。納豆や小松菜、ブロッコリー、青汁などに多く含まれています。

健康な骨を作り、維持するためには、肉や魚を主菜に、野菜中心の副菜、納豆、そしてヨーグルトなどの乳製品をプラスするのがおすすめです。できるだけさまざまな食品をバランス良く摂るように、日頃から意識しましょう。

 

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取材・文/笑(寳田真由美)


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石橋英明(いしばし・ひであき)先生

伊奈病院整形外科部長、NPO法人高齢者運動器疾患研究所代表理事。1988年東京大学医学部医学科卒業。三井記念病院、東京都老人医療センター(現・東京都健康長寿医療センター)整形外科などの勤務を経て、1992年より東京大学大学院医学系研究科にて骨代謝研究に従事。1996年に博士学位を取得し、米国ワシントン大学医学部に留学。帰国後、東京都老人医療センター整形外科に勤務、2001年より同センター整形外科医長。2004年より現職。専門は骨粗鬆症、関節リウマチ、関節外科。著書に『よくわかる最新医学 骨粗鬆症 予防・検査・治療のすべてがわかる本』(主婦の友社)、『骨粗鬆症の予防と治療のガイドライン(共著)』(ライフサイエンス出版)ほか。

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