病院での骨粗鬆症検査は、エックス線と骨密度測定が基本/圧迫骨折

病院での骨粗鬆症検査は、エックス線と骨密度測定が基本/圧迫骨折 pixta_1204524_S.jpg背骨は、首から腰まで24個の骨がつながってできていて、それぞれの骨の積み重なっている円筒形の部分を「椎体(ついたい)」といいます。圧迫骨折とは、この椎体が潰れてしまう骨折です。高齢の女性に多く、尻もちをつく、重い物を持つなどの大きな負荷、そして骨粗鬆症が主な原因です。背骨は体を支え、脊髄を保護する重要な役割を果たしています。この背骨が潰れてしまうと、強い痛みや日常生活への支障が出るほか、身長が縮んだり、背中が丸まったりして、見た目の老化にもつながります。

今回は圧迫骨折の症状や治療法、圧迫骨折の原因となる骨粗鬆症について、伊奈病院整形外科部長の石橋英明先生にお話を伺いました。

 

前の記事「背が低くなった、背中が丸くなったら...骨粗鬆症のサインかも/圧迫骨折(9)」はこちら。

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エックス線や超音波、血液検査などで
骨の状態が確認できます

「自治体での骨粗鬆症検診や人間ドックで『精密検査が必要』と診断された場合や、骨粗鬆症が疑われる症状がある場合は、医療機関でより詳しい検査を受けてください」と、石橋先生。

骨粗鬆症が疑われる症状とは、「背中や腰の痛み」「背中が丸くなってきた」「身長が低くなった」「ちょっとしたことで骨折した」といったことです。その際は、基本的には整形外科を受診しますが、内科や婦人科にも専門的な骨粗鬆症診療を行う医師もいます。

骨粗鬆症の有無や進行の程度を判断するめに、医療機関では、問診や身長測定などの身体所見、脊椎(背骨)のエックス線撮影、骨密度測定、骨代謝マーカーを含む血液検査などを行います。それぞれの検査について説明しましょう。

 

病院での骨粗鬆症検査

●問診
医師から骨粗鬆症に関連する質問があります。現在気になっている症状のほか、病歴や食事、運動などの生活習慣に関すること、女性の場合は閉経時期なども診断の手がかりとなります。

●レントゲン撮影
主に背骨(胸椎や腰椎)の周辺のレントゲンを撮ります。骨折や骨の変形の有無を確認します。骨粗鬆症と他の病気とを区別するためにも必要な検査です。

●骨密度測定
骨密度は、骨の強さを判定するための代表的な指標です。DXA(デキサ)法、MD(エムディ)法、超音波法があり、若い人(主に20歳~44歳)の骨密度の平均値と比べて自分の骨密度が何%であるかで表します。

【DXA(デキサ)法】
弱いエックス線を用いて骨密度を計測する方法で、全身のほとんどの骨を測ることができます。この方法で測定する腰椎(腰の骨)と大腿骨近位部(脚の付け根)の骨密度が最も基準になる値です。骨粗鬆症の診断にも使えますし、薬などの治療効果の判定にも利用できます。放射線を使いますが、被曝量は微量で胸のレントゲン撮影の10分の1程度です。

MD(エムディ)法
第二中手骨(人差し指につながる手の甲の骨)をレントゲンで撮影します。画像上の濃淡や皮質骨の幅から骨密度を判定。短時間で簡便に行えるため広く使われています。ただ、診断には使えますが、治療効果の判定は困難です。

関連記事:「骨粗鬆症が圧迫骨折の主原因。加齢で骨はもろくなるの?/圧迫骨折(5)

超音波法
かかとやすねの骨に超音波をあてて骨密度を測定します。放射線を使わないので、自治体の検診などでもよく用いられます。ただし、感度が高くないため、スクリーニング(ふるい分け)として利用され、正式な診断には使われません。

●骨代謝マーカー
骨が溶けていく勢いと骨が作られている勢いなどをみる血液や尿の検査です。骨代謝マーカーには、骨吸収マーカーと骨形成マーカーとがあり、骨吸収マーカーが高い人は、骨密度の減少が速い可能性があります。ただし、この検査は診断には使わないことになっていて、治療薬の選択や治療効果の判定に利用し、他の病気との区別のためにも役立ちます。

 

次の記事「タンパク質、カルシウム...骨を健康にする栄養素/圧迫骨折(11)」はこちら。

取材・文/笑(寳田真由美)

 

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石橋英明(いしばし・ひであき)先生

伊奈病院整形外科部長、NPO法人高齢者運動器疾患研究所代表理事。1988年東京大学医学部医学科卒業。三井記念病院、東京都老人医療センター(現・東京都健康長寿医療センター)整形外科などの勤務を経て、1992年より東京大学大学院医学系研究科にて骨代謝研究に従事。1996年に博士学位を取得し、米国ワシントン大学医学部に留学。帰国後、東京都老人医療センター整形外科に勤務、2001年より同センター整形外科医長。2004年より現職。専門は骨粗鬆症、関節リウマチ、関節外科。著書に『よくわかる最新医学 骨粗鬆症 予防・検査・治療のすべてがわかる本』(主婦の友社)、『骨粗鬆症の予防と治療のガイドライン(共著)』(ライフサイエンス出版)ほか。

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