「寒天」というと、甘いデザートを思い浮かべる方も多いと思います。ですが、実は、料理に活用することもできる食材です。カロリーはゼロに近いうえ、食物繊維を豊富に含んでいるので、カロリー制限をしたいときにも活躍してくれます。
いつもとはひと味違う寒天のおいしい食べ方を、料理研究家・管理栄養士の村上祥子さんに教えてもらいました。
食物繊維たっぷり!ヘルシーな優秀食材
寒天の原料はテングサやオゴノリなどの海藻類で、これらを煮溶かし、ろ過して凍結乾燥させます。水溶性と不溶性、両方の食物繊維が豊富で、その含有量は食品中でもトップクラス!粉寒天2g でレタス約1個分に匹敵する食物繊維を含みます。食物繊維はコレステロール値を低下させたり、発がん性の腸内物質を排出するのに貢献します。
また、寒天の食物繊維は水分を吸収して数十倍に膨らむので胃に長く留まり、満腹感が持続します。カロリーはほぼゼロのため、カロリー制限が必要な人にもおすすめです。
胃酸によって分解された寒天からはアガロオリゴ糖が生成され、最近の研究では、関節炎やリウマチの予防・改善、制がん作用などがあると期待されています。
寒天の種類は3つ
●棒寒天
ところてんを冬に屋外で凍結乾燥させて作りますが、ろ過を精密にして室内凍結させたものも出回っています。1本を四つに割り、たっぷりの水に5分浸してもどし、水気を絞り、小さくちぎって水やだし汁などに入れ、火にかけて煮溶かします。
●糸寒天
屋外で凍結乾燥させて作りますが、最近は水洗い不要でそのまま使える室内凍結のものが人気。スープ用で販売しているものは、器に入れて熱い汁を注ぐだけで食べられます。煮溶かす際はたっぷりの水で柔らかくなるまでもどし、水やだし汁などに入れ、火にかけます。
●粉寒天
棒寒天や糸寒天よりも凝固力に優れ、品質も均一です。溶けやすさも改良され、より扱いやすくなっています。水やだし汁にふり入れ、弱火でよくかき混ぜながら火にかけて煮溶かします。電子レンジを使えば、さらに時間短縮ができます。
寒天の凝固率を覚えておくと便利!
3種類の寒天はそれぞれ凝固力が違うので以下の量を目安に置き換えてください。パッケージについている説明があれば、必ず参照しましょう。
粉寒天2g≒糸寒天50本(4g)≒棒寒天1/2本(4g)
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取材・文/石井美佐 撮影/中野正景