発酵食品は毎日食べ続けることで免疫細胞に刺激を与え、腸内環境を改善することができるようになります。腸管には全身の6~7割もの免疫細胞が集まっていて、腸内環境が良くなると免疫力がアップします。
そのまま食べることができる発酵食品には、漬物や塩辛など、塩分量が多いものもあります。摂り過ぎには注意しましょう。大切なことは、毎日の食事にバランス良く発酵食品を取り入れ、私たちの体に合った食生活を心がけること。料理研究家で管理栄養士の村上祥子さんにおすすめの発酵食品を教えてもらいました。
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【パン】
ソーダブレッドなどを除いて、私たちが食べているパンは発酵により膨らませて焼き上げます。世界で初めての発酵パンは、ローマ時代に、偶然の出来事から生まれました。小麦粉を水で練ったパン生地を放っておいたら、膨らんだのです。これは空気中の酵母が生地に入り込んで発酵したためです。これを焼いてみたら、従来の無発酵のパンより香りも良く食べやすかったので、その後は発酵させて焼いたパンが主流になりました。
【酒類】
日本酒
米に麹を植え付けて発酵させます。
焼酎
デンプン質(米、麦、さつまいも、そばなど)及び糖質(黒糖)などの原料をアルコール発酵させ、蒸溜して造ります。
ビール
麦芽、ホップ、水を原料にして発酵させた、発泡性のアルコール飲料です。
ワイン
ぶどう果汁の持つ糖分をワイン酵母で発酵させた醸造酒です。
※その他、泡盛・マッコリも発酵酒です。
【調味料】
しょうゆ
麹カビ、酵母、乳酸菌による分解発酵作用により生み出されます。強い塩分下でも生息できる耐塩性のある微生物が発酵を行い、しょうゆ独特の香りとなります。
みりん
焼酎に米麹を加えて糖化発酵させて作ります。
酢
酒のエチルアルコールが酢酸菌で発酵されてできます。黒酢は米酢の一種で、長期間発酵、熟成させる間に、アミノ酸と糖が反応して黒褐色になったものです。
【お茶類】
紅茶(発酵茶)
茶の木の新芽や若葉を摘み取ってもみ、発酵、乾燥させて作ります。
プーアル茶(後発酵茶)
中国茶の黒茶の一種。製造法は「生茶」と「熟茶」の2種があります。生茶は緑茶を加熱し、残っている酵素で天日乾燥をする間に発酵するものと考えられています。数十年を超えるような年代物もあります。熟茶は生茶を多湿状態に置き、カビの働きで発酵させて作られます。
ウーロン茶(半発酵茶)
中国種の茶の木で作られる中国茶。茶葉の加熱処理後、軽く発酵させるため、独特の爽やかな香りがします。ポリフェノールを含み、脂肪の吸収抑制や分解を促進する働きがあります。
※緑茶(不発酵茶)は、茶葉の酸化酵素を加熱で停止させ、発酵を止めて茶葉の緑色を保たせて作ります。
【その他】
チョコレート
チョコレートも発酵食品です! カカオの果実から豆を取り出して数日間堆積して発酵させ、水洗いをして乾燥させます。カカオ豆に含まれるカカオポリフェノールは体の酸化を防ぎ、ストレスや風邪にも効果があるといわれています。
ナタデココ
ココナッツの胚乳を絞ったココナッツミルクを酢酸発酵させ、ミルクの表面が酢酸菌の菌体で寒天状に固まったものがナタデココです。
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取材・文/石井美佐 イラスト/山元かえ
村上祥子(むらかみ・さちこ)さん
料理研究家・管理栄養士。1942年、福岡生まれ。公立大学法人福岡女子大学国際文理学部・食・健康学科客員教授。同大学内の「村上祥子料理研究資料文庫」では50万点の資料が一般公開されている。発酵食にも詳しく、手軽にできる甘酒や酢を使った保存食は人気。著書多数。